ニュース 法律 作成日:2013年3月13日_記事番号:T00042540
股份有限公司(株式会社)は、株主が会社を運営する権利を董事(経営者・取締役)へ移譲し、董事が会社の運営に関する各種事務を執行するという、民主的な法則が適用されている法人です。台湾の公司法(会社法)の規定では、董事と公司は「委任」の関係にあり、董事が職務執行中に会社に対して損害を与えた場合、董事は公司に対して賠償責任を負わなければなりません。
会社は董事を責任者としているわけですから、会社と董事が対立した場合、会社は董事の協力を得ることができません。そこで、公司法では、公司と董事の間の訴訟では監察人が会社を代表すると規定されています。
監察人の職務は「会社の業務執行の監督」および独立して監察権を行使し、弁護士・会計士を招聘(しょうへい)して会社の業務を監視することです。しかし、監察人が董事の行為が公司に損害を与えていることを発見したにもかかわらず、訴訟を提起せず、また何らかの対応も取らない場合、会社としては損害賠償を請求する手段がありません。
少数株主に訴訟権付与
この場合、通常、董事と監察人は共に会社の多数株主が選任した人物なので、その他の少数の株主で株主総会を開催し、董事、監査人を解任することはできません。公司法はこの問題を、少数の株主に対して訴訟権を付与することで解決しています。
公司法第214条の規定では、すでに発行されている株式総数の3%以上を、1年以上継続して所有し続けている株主は、会社が董事を提訴することを監察人に対し書面によって請求できます。また、監察人が提訴をしない場合、前述の株主は、会社を代表して董事を提訴できます。通常、このような状況では監察人は形式上の会社代表者となり、会社は弁護士を代理人とします。
公司法はまた、少数の株主が会社の運営を妨害することを防ぐため、株主が会社を代表して提訴した場合、裁判所は被告の要求に基づいて担保金の納付を命じることができ、提訴内容が事実無根であった場合、株主は董事の損害を賠償しなければなりません。逆に事実であった場合、董事は株主の損害を賠償しなければなりません。さらに、株主が敗訴した場合、株主は会社の受けた損害をその原因にかかわらず賠償しなければなりません。
ここで注意が必要なのは、以上で説明した少数株主の訴訟権に関する条件は民事訴訟に限られたもので、刑事訴訟には適用されないという点です。
台湾の刑事訴訟には「自訴」という制度があり、個人が検察官に代わって刑事訴訟を提起することで、被告の刑事責任を問うことができます。このような制度は、確固とした証拠がある場合には迅速な起訴と判決を得ることができるという利点がありますが、台湾の刑事訴訟法が、英米法における交互尋問形式の訴訟法制度を採用してからは自訴制度を利用する人は少なくなりました。大多数の犯罪被害者は、検察官が捜査を行い起訴する形を選ぶことで、より多くの犯罪証拠を得ることを求めます。
刑事自訴に不当判断
最高裁判所は2013年1月24日、股份有限公司の少数株主が監察人に会社の董事を自訴によって起訴することを求めた案件の判決を下しました。台南市の徳益制動科技公司は、11年10月に経済部に「休業が6カ月以上続いている」ことを理由に解散を命じられ、同年12月に登録を抹消されました。少数株主は11年12月初頭に臨時株主総会を開催し、陳徳三監察人が董事であるRainer Braatz氏を「工商秘密洩漏罪」「背信罪」などの罪で刑事自訴を提起することを決議しました。
台南地方裁判所は、公司法214条は民事訴訟のみに適用されることを理由に、少数株主(3%以上の株を1年以上所持している株主)は監察人に刑事自訴を要求する権利はないと判断しました。すなわち、監察人は会社を代表して刑事自訴を提起することはできないと判断されたわけです。
さらに裁判所は、会社がすでに解散している以上、会社の責任者は「清算人」であるため、董事への訴訟は、清算人を会社の代表として提起すべきとも判断した上で、会社側は、監察人である陳徳三氏が清算人であることを証明できないため、提起された自訴は不合法となり、受理することはできないとしました。
徳益公司は台湾高等裁判所台南分院に控訴を行いましたが、2審も1審の判断を支持しました。しかし、上告審となった最高裁判所は、本案は営業秘密の保護に関係した案件であり、知的財産権案件であるため、第2審の管轄は知的財産裁判所にあると判断、原判決を破棄し、知的財産裁判所へ案件を差し戻しました。
本案件は現在第2審で審理中ですが、公司法に規定されている少数株主の訴訟権が民事訴訟に限ったものであることは法律上の定論です。そのため、本案の少数株主が刑事訴訟としての実質審理に持ち込みたいのであれば、何らかの工夫をしなければならないでしょう。
徐宏昇弁護士事務所
TEL:02-2393-5620
FAX:02-2321-3280
MAIL:hubert@hiteklaw.tw
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722