大型パネル市場の先行きを好感して、奇美電子(CMO)が、中断していた第8世代工場の建設工事を、来年1月に再開させることを決めたもようだ。来年末に竣工し、2009年に量産を開始する予定。先日友達光電(AUO)が明らかにした同世代工場の建設計画(09年下半期量産開始予定)よりも早く、第8世代ラインによる量産一番乗りを果たしそうだ。10日付経済日報が報じた。
同社の第8世代工場は、昨年4月に南部科学工業園区(南科)高雄園区で着工されたが、その後第6世代工場の建設が早まり、かつ第8世代の量産時期が未定だったため、同工場の建設は基礎工事が完了した後、停止していた。
これまで奇美電は、第5.5世代ラインで50インチ以上の大型パネルを開発してきたが、大型パネル市場が順調に伸びており、将来同タイプがリビング用テレビの主流になると見て、ライン敷設計画の再開を決めたもようだ。奇美電の来年の資本支出は1,000億台湾元(約3,450億円)に上ると予想される。
市場での長期的有利を
友達光電(AUO)も先日、約30億米ドルを投じて第8世代工場を建設し、09年下半期に量産体制に入る計画を明らかにしている。しかし、奇美電の工事は既に一定の段階まで進んでいるため、早ければ来年末にラインの敷設が完了し、台湾初となる第8世代ラインを稼働させ、09年に量産に入るとみられる。奇美電は同業他社に先んじて、新興市場において大手顧客との安定した関係を築き、長期的な有利を手に入れたい考えのようだ。
ただ、工場棟の建設は始まっているものの、奇美電はいまだラインの敷設時期と量産開始時期を正式に発表しておらず、「先に工場棟をつくり、状況を見てライン設置のスケジュールを決める」ことを強調している。
次世代ラインも計画
アナリストの分析によると、パネル好景気により奇美電は今年と来年の利益、および流動資金が800億元あることから、第8世代工場が奇美電にとって負担となることはない。
また、同工場は奇美電8本目の生産ラインとなるが、南科における奇美電液晶専区の土地開発が間もなく完了する見込みで、奇美電は同園区に残る60ヘクタールの用地を使い、9、10本目となる2本の次世代ライン開発も計画している。