友達光電(AUO)が、第8世代ラインによる量産で台湾一番乗りを果たすべく、来年末のテスト生産をめどに敷設時期を早めるもようだ。奇美電子(CMO)が2009年、友達より半年早く同世代ラインの量産に入ると一昨日に報道されたが、友達は台湾最大手の意地を懸け、対抗するものとみられる。ただ、生産能力拡充レースの過熱により、再来年にはパネルの需供が逆転するとの懸念も聞かれる。12日付経済日報が伝えた。
友達はもともと中部科学工業園区(中科)后里基地に第8世代以上の工場を設置し、2009年下半期に量産を開始する予定だった。しかし今回、7.5世代ラインの設置を予定していた中科第3期開発区のL7B工場に、8世代ラインを設置する計画に変更を行ったようだ。L7B工場はすでにタイルの貼付けに入っており、工場建設の進度から見て、奇美よりも早く量産体制に入れるとみられる。なお、経済日報では、「第8世代」と報じているが、同日付工商時報は「8.5世代」としている。
友達は当初、L7B工場に7.5世代ライン2本を設置し、来年中にガラス基板6万枚の量産を開始する予定だった。新たな計画では8世代ラインを1本設置し、09年に量産に入る予定で、初期は4万枚の生産能力となる見込み。友達の広報は、「現在8世代以上の計画についてはまだ検討中で、確定後発表する」としている。
パネル業者は、4万枚クラスの同世代工場設置には24億米ドル(約780億台湾元=約2,700億円)かかると予測する。既に工場棟はほぼ完成しているため、その分を差し引くとしても600億元が必要となる。また友達は、中科后里基地でも来年1月から8世代工場の建設を開始する予定で、さらに1,000億元が必要となる。これについて証券会社は、友達は今年500億元の利益が見込まれ、来年も少なくとも800億元の資本収入があるため、流動資金も含めると8世代ライン2基の設置には十分な資金的余裕があると見ている。
先行の優位性を死守
業界台湾最大手、大型パネルでは世界最大の出荷量を誇る友達は、資金力、人材、供給メーカーに対する価格交渉力などあらゆる面で優勢にある。しかし近年、奇美も生産能力、規模で友達に迫ってきている。経済日報は、「いったん8世代ラインの競争で先を越されると、連鎖的に他の優位さも失われ、最大手の地位を奪われることもあり得ると考えて今回の対抗策を打ち出したようだ」と分析している。
世界的に見ると第8世代工場は、サムスンが2基、LGフィリップスLCD(LPL)が1基、友達と奇美を加えた新設4基すべてが09年に量産開始を予定している。パネル市場は今年、来年は供給不足が続くと見られるが、09年は供給過剰で需給が逆転する恐れもある。
また、8世代ラインは本来50インチ以上の大型テレビパネル生産に充てられるが、現在の主流は32、37および42インチで、50インチ以上はいまだに市場は小規模だ。もし、09年の50インチ型のテレビ市場規模が予想を下回った場合、8世代ラインは42インチの生産に回される可能性が高く、生産過剰で価格が下落し、メーカーは損失を計上するといった状況も懸念される。