台北市立美術館で開催中の日本オタク文化展が、このほど民進党の李文英台北市議より、「露出度が高い作品が多くわいせつだ。日本のサブカルチャーの商業展を強引に芸術と結びつけている」と強い批判を浴びた。
同美術館では11月17日から「欲望と消費――海洋堂とオタク文化」と題し、アニメや漫画などのキャラクターを立体化したフィギュア3,000点余りを展示。これは日本の有名な造形集団、海洋堂が日本で巡回開催した展覧会を台湾に持ってきたもので、1年余りの交渉の末に実現したという。
オタク文化展のフィギュア。市議は目くじらを立てるが、こうしたフィギュアは台湾の若者にとってなじみ深いものになっている(台北市立美術館提供)
議論になっているのは、日本オタクの父ともいわれる造形師ボーメの作品10点で、いずれも露出度の高いエロチックな美少女フィギュア。これらの作品はまだ一般公開されていないものの、謝ウン同美術館館長(台北市文化局副局長、ウンは韋に温の右側)は、専門家の意見を聞いた上で年齢制限による公開を検討する意向だ。
李市議によると、同美術館では年間約80人もの芸術家が申請する中、審査を通過し個展を開けるのはわずか5人。同美術館が今回770万台湾元(約2,675万円)もの経費をつぎ込み開催したのは、百貨店で催されるような商業展であり、そのために多くの芸術家が発表の場を奪われていると、芸術家たちから受けた陳情の声を代弁した。
これに対し謝館長は、日本のオタク文化が台湾に及ぼした影響は非常に大きく、同展は単なる商品の展示にとどまらないオタク文化の歴史の紹介であり、芸術的価値があると反駁。休日の来館者は3倍以上に増加している、と人気をアピールしている。