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H7N9鳥流感、経済損失760億元も


ニュース 社会 作成日:2013年4月30日_記事番号:T00043391

H7N9鳥流感、経済損失760億元も

  台湾経済研究院(台経院、TIER)の試算によると、H7N9型鳥インフルエンザの警戒レベルがフェーズ6(世界的大流行、パンデミック)で1年続けば台湾の域内総生産(GDP)が0.49%、759億5,000万台湾元(約2,500億円)減少する。行政院衛生署は現在、中国からの訪台自体は制限しない方針だが、入境時に症状があれば中国に戻っての治療を促しており、ウイルスの持ち込みを防ぐため、感染が確認された場合の隔離治療を自己負担させる法改正を検討している。30日付工商時報などが報じた。


新北市政府は市場の消毒など予防を強化している。台湾の専門家の中には、中国での家禽類を扱う市場閉鎖の効果で、夏には感染が落ち着くとの見方もある(29日=中央社)

 張家祝経済部長は29日立法院経済員会で、ヒトからヒトへ感染するフェーズ4となれば特に小売業、飲食業に影響が現れ、警戒レベルが引き上げられれば消費、生産、輸出全てに影響が出ると指摘した。経済部が台経院に委託した研究報告によると、フェーズ4が3カ月続けば台湾のGDPは0.004%減少する。これに対し丁守中立法委員(国民党)は、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行時は航空、旅行、ホテル、飲食が軒並み打撃を受け、商業の損失は634億元に上ったと指摘し、「見込みが甘過ぎる」と声を荒げた。

 黄昭順立法委員(国民党)は、中国人旅行者の人口密度が最も高いのが台湾だと指摘し、政府に渡航制限発令を呼び掛けた。張経済部長は、中国人の訪台だけでなく、中国で働く台湾人(台商)の帰郷も考慮が必要で、混乱を招く可能性があると否定的な考えを示した。

メーデー連休が鍵

内政部入出国移民署の何栄村副署長は、中国人旅行者は第1類(団体)の申請件数が23日の9,466件をピークに25、26日は6,000件余りまで減少し、自由旅行の申請も同様に減っていることから、5月1日以降の訪台は減るとみている。今年の中国の労働節(メーデー、5月1日)連休は4月29日〜5月1日だ。

 メーデー連休期間に備え、大手ホテルチェーン、晶華麗晶酒店集団(FIHリージェントグループ)は正面玄関や従業員出入り口、レストランなど公共スペースに1台10万元する日本製の業務用消毒・手洗器を10台設置した。君悦大飯店(グランドハイアット)は手洗器を40台設置した。香格里拉遠東国際大飯店(シャングリ・ラ・ファーイースタン・プラザホテル)は肉類を調理する際に、殺菌のため、中心の温度が74度以上に達したか確認している。

ヒトヒト感染、1カ月以内は可能性低い

 中央流行疫病指揮センター指揮官の張峰義・行政院衛生署疾病管制局局長は、現在のフェーズ3から1カ月以内にフェーズ4に引き上げる可能性は低いと考えている。現在は、中国の感染地域から入境する際に発熱や咳などの症状があれば、隔離しての検査か帰国を求めていると説明。今後、外国人の隔離治療の医療費を自己負担とすれば、ウイルスが台湾に持ち込まれる可能性を減らせると話した。

 H7N9型鳥インフルは第5類法定伝染病に指定されているため、伝染病防治法に基づき、台湾で確認された場合は隔離治療が義務付けられており、台湾籍、外国籍を問わずに医療費を政府が負担することになっている。

 中国の感染者は29日までに累計126人(死者24人)に上り、感染地域は福建省、江西省、山東省、湖南省まで拡大した。