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中美和が林園工場停止、中国増産が直撃


ニュース 石油・化学 作成日:2013年5月7日_記事番号:T00043515

中美和が林園工場停止、中国増産が直撃

 台湾中油と英BPの合弁による高純度テレフタル酸(PTA)大手、中美和石油化学(CAPCO)の陳緑蔚董事長は、同社PTA生産の67%を占める高雄林園工場の稼働を停止したことに加え、従業員の25%削減することを明らかにした。ここ数年、中国メーカーが生産能力を一気に拡大したことによる、PTA価格の下落を受けての措置だ。中美和以外のPTAメーカーも減産に追い詰められており、川下の紡織業界などが調達先を中国に変更することを迫られる恐れがある。7日付経済日報が報じた。

アジア最大手からの転落

 中美和は1976年、台湾中油(持ち株比率38%)とBP(同62%)により設立。79年には台湾初のPTA工場、林園工場を完成させた。PTAは紡織品やペットボトル生産の主要原料で、同工場は、第5工場まで拡大。生産能力は142万トンに上り単一の工場としては世界最大のPTA生産拠点にまで成長した。03年には台中工場(年産能力70万トン)でも量産を開始し、同社の総生産能力は212万トンで、当時アジア最大のPTAメーカーとなった。

 しかし、中国メーカーがここ1~2年で生産能力を急速に拡大。翔鷺石化は年産能力100万トンに上る工場を建設し、これによりPTA価格は昨年3月から大幅に下落した。

 中美和はPTAと原料のパラキシレン(PX)の価格差が1トン当たり130米ドル以上で利益が出る計算だが、現在は60~70米ドルまで縮小。1トン当たりの損失は60~70米ドルで、同社の経営を圧迫している。同社は昨年、28億台湾元(約94億元)の赤字を計上したとみられている。

生き残りは高品質化のみ

 経済部工業局は6日、中美和の減産は中国の生産拡大の余波を受けた典型的なケースだと指摘した。現在台湾最大手の台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー、年産能力220万トン)や亜東石化(OPTC、同90万トン)、東展興業(同50万トン)も軒並みPTAを減産中で、PTAのような汎用石化製品は今後高品質化を進める以外、生き残りの道はないと分析。そうでなければ、中国メーカーがひたすら生産拡大を追い求めた場合、経営が行き詰まると説明した。

 経済部は石化産業の発展戦略として、43品目を高品質化の対象に挙げている。関係者は、中美和が高品質化への転換を図る意欲があれば、工業局が研究開発(R&D)から量産まで全面的に協力する構えだと明かした。ただ、中美和はBPが経営を握っており、BPは中国を含む世界中で生産を行っているため、高品質化への転換は台湾中油が主導していくことが不可欠との見方を示した。

【表】