ニュース 運輸 作成日:2013年5月9日_記事番号:T00043566
交通部高速鉄路工程局(高鉄局)は8日、桃園国際空港を経由し台北駅と桃園県中レキ市(レキは土へんに歴)を結ぶ台湾桃園国際機場聯外捷運系統(桃園国際空港MRT)の全線開通が、早くても2015年末までずれ込むと発表した。延期は3回目で、工期は当初予定の5年から10年に長引く。朱旭局長は、請負業者の丸紅に対し、罰金や損害賠償請求だけでなく契約終了もあり得ると述べ、同時に自身の引責辞任を発表した。9日付蘋果日報などが報じた。
辞意を表明した朱旭・高鉄局長。市民からは「10月には台北駅から35分で桃園空港に行けるはずだったのに」と不満の声が聞かれた(8日=中央社)
交通部は、信号ケーブルの品質が不合格だったため、全面交換が必要と延期の理由を説明した。これにより、台北駅〜三重駅(新北市)は来年10月に、三重駅〜環北駅(中レキ市)は15年末に開通予定を延期する。これまでは今年10月の開通を目指していた。
台北〜中レキ(全線51キロメートル、22駅)の建設費は1,138億台湾元(約3,800億円)で、06年2月の着工当初は10年12月に三重〜中レキ間の開通を予定していた。しかし、原料価格の大幅上昇で工事が遅れ、08年の時点で今年6月に開通予定が延期された後も、機電システムの設計の遅れ、丸紅と下請け業者の契約トラブルや材料の品質・価格問題、桃園県蘆竹郷の整備工場の用地引き渡しの遅れなど問題が相次ぎ、10月に再延期されていた。
「損害賠償に上限なし」
朱局長は、開通延期の責任問題について、請負業者(丸紅)が負うべきと認定すれば、10月12日から1日当たり1,250万元余り、最高25億元の罰金を科すと語った。これ以外に最高254億9,000万元の損害賠償を請求でき、詐欺と認められた場合は損害賠償額に上限はないと話した。また、丸紅は不良企業と認定されれば、今後1年間台湾で工事請け負いが禁じられ、国際的名声に傷が付くと指摘した。
これを受け、台湾丸紅は8日夜、これまで依頼主の高鉄局を尊重して一切コメントを控えてきたが、高鉄局が工事遅延をすべて丸紅のせいにするのは「想定外」で、今回の高鉄局の発表内容を精査し、近日中に対外的な説明を行うと表明した。
新北市、代替バス運行を要求
新北市政府は8日、開通延期によって市民の公共交通機関を利用する権益が損なわれるとして、交通部に対し延期の期間短縮に努めると同時に、高鉄局は代替措置や補償を検討してほしいと呼び掛けた。
さらに、工事を終えた区間から部分開通し、開通までの間、沿線に代替バスを運行させ、その費用も中央政府が負担するよう求めた。
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