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そごう経営権争い、遠東が勝利


ニュース 商業・サービス 作成日:2013年5月10日_記事番号:T00043593

そごう経営権争い、遠東が勝利

 百貨店大手、太平洋崇光百貨(太平洋そごう)の経営権をめぐり、遠東集団(ファーイースタン・グループ)、前経営者、持ち株会社の前董事長との間で続いていた紛争に決着がついた。最高行政法院が9日、2002年に遠東集団に経営権が移転された根拠となる、持ち株会社への40億台湾元(約140億円)の増資登記に違法性はないと認めたためだ。10日付経済日報などが報じた。

 太平洋そごうは2002年、創業当時から経営していた章民強・太平洋建設集団総裁が、太平洋建設の財務危機により売却を計画。知人の李恒隆氏に協力を要請し、李恒隆氏の提案によって持ち株会社、太平洋流通投資(太流)による経営に変更された。太流の董事長に就任した李恒隆氏は、遠東集団の協力の下、同年9月21日に1人で太流の董事会と臨時株主会を開催して遠東集団からの出資受け入れと章民強氏の董事解任を決定。これにより遠東集団が太平洋そごうの経営権を手中にし、章民強氏は追い出された。

 太平洋建設集団が提訴した結果、台湾高等法院検察署は09年12月、董事会と臨時株主総会の議事録は偽造されたものとの判断を下した。これに従い、経済部が翌年、遠東集団による太流の増資登記を取り消した。

 太流の資本金はもともと1,000万元で、李恒隆氏が6割を保有していたため、遠東集団の40億元の増資がなかったことになれば、太平洋そごうの経営権は李恒隆氏のものとなる。李恒隆氏は10年4月に遠東集団排除の意思を明確にし、そごうの役員改選を目指して臨時管理人の選任などを行っていた。

1人董事会も可能

 最高行政法院は、増資登記を認める台北高等行政法院の判決を支持し、経済部の上告を棄却した。判決文で、公司法(会社法)第9條第4項に「会社登記事項に偽造、偽造文書があれば、裁判所の判決に従い、検察機関は中央主管機関に対し、その登記の取り消しまたは廃止を通知する」と規定されているだけで、経済部の登記はここでの「偽造、偽造文書」に含まれないと指摘した。

 董事会と臨時株主総会の議事録が「偽造」に問われた問題に関しては、公司法には株主が1人以上いれば有限会社を組織できると規定されており、李恒隆氏か代理人が1人で開催することも可能だと指摘。文書偽造に関する李恒隆氏の罪は確定しておらず、経済部は最高法院の判決が出てから、増資登記の是非を判断すればいいと説明した。

 最高行政法院の判断を受け、游瑞徳・経済部商業司長は9日、最高行政法院の判決に従い、太流の資本金の登記を40億1,000万元に戻すと述べた。
そごうの経営権維持が認められた遠東集団の徐旭東董事長は、現在海外におり、知らせを聞いて喜んだという。ただ、正式な対外発言は裁判所からの通知を受けてから行うとしている。

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