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日本車の受託生産、円安で縮小も


ニュース 自動車・二輪車 作成日:2013年5月15日_記事番号:T00043672

日本車の受託生産、円安で縮小も

 15日付工商時報によると、トヨタが国瑞汽車に生産を委託している中東市場向け「カローラアルティス」を、日本国内の生産に切り替えるとの観測が浮上している。円安で日本の輸出競争力が回復し、台湾生産のメリットが薄れているためだ。国瑞汽車は観測を否定したが、同じく中東向けの三菱自動車のセダン「ランサーフォルティス」を手掛ける中華汽車工業(チャイナ・モーター)にも同様の懸念は拭えず、台湾メーカーによる受託規模や車種の拡大、供給先の多様化は厳しくなったとみられる。

 国瑞汽車は台湾域内および輸出向けのトヨタ車の生産を手掛けている。2009年より中東向け「カローラアルティス」の生産・輸出を開始し、昨年の輸出台数は6万6,000台に上った。今年は7万台、14年は8万台を目標に掲げる。同社主管は、自動車産業は計画に基づいて運営されており、為替の変動で受注を簡単に他へ回すことができる電子産業の受託生産とは違うと指摘。14年の輸出目標はトヨタとの間の決定事項だと強調した。

 一方の中華汽車は昨年9月からランサーフォルティスの輸出を開始し、今年の輸出台数は3,000~5,000台の見通しだ。

全世界で条件争う

 国瑞汽車、中華汽車の主管は共に、両社が中東向けの1車種の受注を獲得したのは、台湾メーカーの製造品質が認められたこともあるが、当時円高が進行していたことが大きいとの見方を示した。台湾メーカーは日本からの受託生産で、台数の増加や供給市場、車種拡大を目指しているが、それには日本だけでなく、世界各地の生産工場と条件を争う必要があり、円安が加速している状況下では不利だと説明した。

 円安の影響は受託生産だけでなく、台湾ブランド車にも及ぶとみられ、裕隆集団傘下の納智捷汽車(ラクスジェン・モーター)の胡開昌総経理は先日、「新興市場での販売に必ず影響する」と危機感を示していた。

 業界関係者は、政府は台湾市場で日本車の値下げが行われないことばかりを注視し、台湾自動車メーカーの輸出競争力が落ちることは考えていないと指摘した。 

【図】