ニュース 電子 作成日:2013年5月31日_記事番号:T00043977
台湾のパソコンサプライチェーン(供給網)に受注縮小の危機が迫っている。資訊工業策進会(資策会)産業情報研究所(MIC)は30日、聯想集団(レノボ)やサムスン電子、ホワイトボックス(白牌)と呼ばれるノーブランド、無名ブランドが勢力を増し、自社生産比率を引き上げたり、プリント基板(PCB)や液晶パネルなどの部品調達先を中国メーカーに移行する動きが強まると警鐘を鳴らした。31日付経済日報が報じた。
過去20年の台湾PCサプライチェーンの圧倒的地位は、ヒューレット・パッカード(HP)、デル、アップルなどPC大手がブランド経営に専念し、台湾メーカーに受託生産や部品供給を任せていたためだ。一時は台湾のノートPC受託生産の世界市場シェアが9割を超えた。
近年のレノボ台頭は当初、文化的、地理的に近い台湾メーカーに有利に働くと期待されていた。しかし、中国は世界の工場(メード・イン・チャイナ)から世界の市場(メード・フォー・チャイナ)移行に続き、巨大な サプライチェーンを抱える「メード・バイ・チャイナ(中国メーカーによる製造)」化で、台湾のPC産業を揺るがす恐れがある。
部品調達権を握れず
MICによると、中国部品メーカーの来年の中国市場シェア予測は、▽PCB・ケーブル・コネクターなど、60%以上▽プラスチックきょう体・電源など、30~60%▽液晶パネル、30%未満▽バッテリー関連、10%未満▽タッチパネル、5%未満──と、積極的な開拓姿勢がうかがえる。
PCブランドと受託生産メーカーの関係も、台湾PC部品メーカーに不利な方向に変化している。MICは、レノボが仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)と合弁で聯宝(合肥)電子科技(安徽省合肥市)を設立したものの、コンパルは組み立てを請け負うだけで部品調達権はレノボに握られていると指摘した。
またMICは、中韓のPCブランドが相次いで自社製品比率を引き上げており、特に韓国ブランドは自社生産に重きを置いていると指摘した。ただ、HPも初期には自社生産だったが、後には台湾メーカーに生産を委託したと今後の受注に期待感も示した。
台湾製の出荷減、世界平均より深刻
ノートPC需要低迷だけでなく、台湾の受託生産メーカーの勢力縮小も部品メーカーにとっての悪材料だ。MICは、今年ノートPCの世界出荷1億8,200万台の前年比5.3%減見通しに対し、台湾メーカーが製造するノートPCは同9.9%減となり、より落ち込み幅が大きくなると予測した。これに基づくと、ノートPC受託生産市場における台湾のシェアは約8割まで縮小する計算だ。
MICはタブレットPCの出荷予測を世界で同62.2%増の2億2,800万台と、年初に予測していた3割増より上方修正した。ただ、成長のけん引役はホワイトボックスのため大部分を中国メーカーが受託生産し、台湾メーカーは商機にあずかれない。また、台湾メーカーが受託生産するアップルのiPadシリーズは第2四半期の市場シェアが5割を割り込む見通しだ。これらを背景に、台湾メーカーに限定したタブレットPC出荷は同24.5%増の1億2,080万台と、成長率は半分以下になると予測している。
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