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CO2の地下貯留計画、「地震誘発する」と反対の声


ニュース 社会 作成日:2013年6月25日_記事番号:T00044374

CO2の地下貯留計画、「地震誘発する」と反対の声

 温室効果ガスの排出量削減に向け、環境保護署(環保署)が大手企業の二酸化炭素(CO2)排出量を法で規制する動きを見せる中、台湾電力(台電)や台湾中油(CPC)は排出されたCO2を回収し、台湾西部の地下に封じ込めるという対策を計画している。しかし、これに対し専門家は「気体が外部に漏れれば、住民の安全や生態系に悪影響を及ぼす」「地震を誘発する可能性がある」などと指摘しており、環境保護団体は「市民を実験台にすべきではない」と反発している。

 環保署によると、台湾におけるCO2排出量は年間約2億6,000万トンで、同署は「温室効果ガス減量法」を制定し、大企業の排出量を制限することで2025年までに2億1,500万トンまで減らしたい考えだ。

 これに応じてCPCと台電はCO2を回収し、地中や水中に貯留する「二酸化炭素貯留」技術を活用して排出量を抑える計画で、CPCは既に今年初め、雲林県で試験的に100トンの貯留を完了。さらに今年末に苗栗県の永和山で1万トンの貯留を行う予定だ。

 また台電も雲林県の台地や彰化県で地質調査を進めており、17年には彰化県の彰浜工業区で10万トンの貯留を計画している。

 環保署によると、二酸化炭素貯留は発電所や石油・化学プラントなどで排出されたCO2を回収し、地下1キロメートル以上の地層に封じ込める技術で多くの科学者が安全だと主張している。

 しかし、湖底からCO2が放出されていることで知られるカメルーンのニオス湖では、1986年に湖水爆発が発生し、1,700人を超える近隣住民、および家畜3,500頭が犠牲となった事故が起きており、これを理由に危険視する見方もある。

 また中正大学地球・環境科学系の石瑞銓主任は、「台湾はプレートの活動が活発で地層が不安定なため、二酸化炭素貯留を実施すれば地震を誘発するリスクが高い」と指摘している。

 さらに2社の準備作業は、その計画内容や危険性を公表することなく秘密裏に進められ、地元住民が反発を強めていることで計画の先行きが不透明となっている。