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台湾版「3本の矢」、馬総統が提示


ニュース その他分野 作成日:2013年6月26日_記事番号:T00044419

台湾版「3本の矢」、馬総統が提示

 馬英九総統は25日行われた経済日報の単独インタビューで、台湾経済の停滞を打破するための台湾版「3本の矢」として、▽自由経済モデル区と中台間の経済協定による産業発展▽公共投資拡大▽為替レート安定化──を掲げた。景気は下半期に改善に向かうとの見通しを示すとともに、今年の経済成長率は2%台か3%台かと言えば、高ければ高いほど良いと述べた。26日付同紙が報じた。


馬英九総統。第1四半期の経済成長率は1.67%ながら韓国、シンガポールを上回り、5月の失業率は4.06%と就任後で最も良く、台湾の経済競争力は景気ほど落ちていないとの見方だ(26日=中央社)

 馬総統は、過去5年の自由化や規制緩和は不十分だったと振り返り、このほど調印した中台サービス貿易協定と7月末に始動する自由経済モデル区が、台湾が競争力を持つ高付加価値サービス業に力を与え、経済成長を押し上げると述べた。

 自由経済モデル区は、▽物流や加工を行う「スマート運営」▽海外企業との提携を促進する「産業提携」▽農産物などを加工してメードイン台湾として世界に輸出する「農業付加価値」▽「国際医療」──に狙いを定めている。馬総統は、特に国際医療は昨年の成長率が480%に上ると指摘し、有力な医療機関などをモデル区に誘致すべきだと述べた。

 これらに加え、桃園国際空港の整備および周辺開発を推進する桃園航空城と重大公共建設(投資額10億台湾元以上=約33億円以上)を着実に実行すれば、経済発展に大きく貢献すると語った。また、都市再開発は経済発展にとって非常に重要で、政府が優先的に取り組むべきだと述べた。

公共投資拡大は重要路線

 来年度の公共建設予算は域内総生産(GDP)比2.66%と過去10年で最低だ。これについて馬総統は、公共投資が不十分ならば経済にアクセルがかからないため、江宜樺行政院長が8月末までに特別予算など何らかの方法を編み出すと述べた。

 為替に関しては、中央銀行(中銀)の現在のバランス重視姿勢を支持すると述べた。台湾は輸入品の価格がすぐさま物価に反映するため市民も企業も対応し切れないと語り、レートは大きく変動させるべきでなく、産業は為替以外の条件で勝負すべきとの考えを示した。

サービス貿易協定を足掛かりに

 さらに馬総統は、サービス貿易協定に続いて年末に物品貿易協定調印を見込んでおり、これにより3年前に調印した海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)が完成すると述べた。また、サービス貿易協定で台湾が市場をどの程度開放するかは、世界中が注目していたと指摘。今後台湾と自由貿易協定(FTA)締結を検討する各国の姿勢に影響するとの見方を示した。

 その上で、台湾は近くシンガポールとの経済パートナーシップ協定(ASTEP)やニュージーランドとの経済協力協定(ECA)に調印するが、最終目標は東アジア地域包括的経済連携(RCEP)と環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟だと強調した。