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無料バス乗車券配布、入手できなかった市民が暴徒化


ニュース 社会 作成日:2013年7月1日_記事番号:T00044475

無料バス乗車券配布、入手できなかった市民が暴徒化

 大手バス会社、国光客運は台北〜宜蘭を結ぶ新路線を新設するに当たり、運行開始から3日間は乗車を無料開放すると発表した。これを受けて運行初日となった28日、台北側の始発駅、都市交通システム(MRT)円山駅のバスターミナルには朝早くから3,000人以上が押し寄せた。しかし、国光客運が同駅で用意した無料乗車券は早々に配布が終了。早朝3時から並んだ人すら入手できない事態に不満の声が噴出し、怒りの抑えられない市民がバスを取り囲んで発車を阻止する行為も見られた。

 
無料券を入手できず、失望する乗客。台湾での「無料」の強烈な訴求力が改めて示された事件でもあった(29日=中央社)

 国光客運が新設したのは台北から北宜高速公路(国道5号)の雪山トンネルを通って宜蘭の頭城、宜蘭、蘇澳の各地へ向かう路線で運賃は片道75〜185台湾元。

 今回、乗車が無料となったのは初日が182便・5,460座席、2〜3日目はそれぞれ284便・8,500座席分だった。また今回は同路線で停車する7カ所のバス停で無料乗車券の配布を行ったため、円山駅で配布されたのは2,700枚だった。

 早朝5時45分からの配布開始に対し、円山駅では3時に行列ができ始め、7時には約3,000人に達した。その後も人の波は増え続け、現場で割り込もうとする者やそれを阻止する者が言い争いになるなど、緊張状態が高まっていった。

 そんな中、7時過ぎに無料券の配布終了が伝えられると市民の怒りが爆発し、「無料券を全部配っていない」「従業員が無料券を懐に入れた」といった怒号が飛び交った。

 抗議者がバスターミナルにあふれてバスの進路を塞ぎ、他社のバスも運行できない状態となったことから国光客運は2〜3日目用の無料券1万5,000枚をすべて放出。それも受け取れなかった者に50元の割引券を提供し、さらに無料乗車期間を7月末まで延長すると発表してようやく騒ぎは収束した。

 なお運行開始2日目も、国光客運は乗客を無料券を持っている者と持っていない者を区別せず乗車させたため、持っている無料券を使わずに乗車する者が相次いだ。このため無料券使用者から「不公平」との声が上がり、同社はあわてて「無料券使用者優先」に切り替えた。

 事前によく計画を練ることがいかに大切か、同社は痛切に感じたことだろう。