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4G入札に7社参戦、サービス開始14年にも


ニュース 電子 作成日:2013年7月2日_記事番号:T00044521

4G入札に7社参戦、サービス開始14年にも

 第4世代移動通信システム(4G)と呼ばれるLTEの事業免許の競争入札募集が1日に締め切られ、通信業界大手・中堅4社および鴻海科技集団(フォックスコン)の子会社など新興3社の合計7社が応札した。11月に落札者3~7社が決まり、早ければ来年にもサービスが開始される見通しだ。日韓など世界に遅れを取ったものの、台湾もいよいよ100メガビット毎秒(Mbps)の超高速モバイルインターネット時代に突入する。2日付工商時報などが報じた。

 LTE入札に応札した7社は、▽中華電信▽台湾大哥大(タイワン・モバイル)▽遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)▽亜太電信(アジア・パシフィック・テレコム)▽鴻海集団の国碁電子(アンビット・マイクロシズテムズ)▽大衆電信(FITEL)のPHS事業経験を持つ新光合成繊維(新繊)傘下の新建▽頂新国際集団の魏応交董事長が主導する台湾之星移動電信──。

 通信行政を担当する国家通訊伝播委員会(NCC)は、8月15日に応募資格の審査結果を発表し、9月3日から価格による競争入札を行い、11月に落札者を発表すると説明した。市場関係者は、2003年の3G免許入札を基に、4Gは各社が100億台湾元(約330億円)以上で免許を取得し、落札総額は500億元を超えると予想した。

業界再編の可能性も

 NCCは、700メガヘルツ(MHz)、900MHz(17年6月~18年末)、1,800MHz(17年6月)の周波数帯を開放する計画で、270MHzを1社当たり10~35MHzの範囲で4~7社が分け合い、最大10MHzの転売が可能だと説明した。また、世界では1国内で4G事業者が3社を超えたケースはないとして、企業提携を呼び掛けた。

 現行の電信法第15条によると、落札者は会社の売却も可能なため、既存の通信業者による投資、合併などで通信業界の再編が起きる可能性もある。今回応札しなかった3G事業者の威宝電信(ビボテレコム)については、鴻海や台湾之星が合併や買収に向けて提携交渉中との観測が出ている。

WiMAX事業者、救済か

 LTEに先駆け4Gサービスを展開するWiMAX事業者の全球一動(グローバル・モバイル)、威達雲端電訊(ビー・タイム)も結局応札しなかった。

 NCCは、WiMAX事業者の救済策として、▽TD−LTEへの事業転換を認めた上で免許を6年に延長▽来年WiMAX事業免許の期限が切れ次第、政府が2,600MHzの周波数帯を回収して再度入札を行い、15年に免許交付──のいずれかの案を計画しているもようだ。ただし、通信業界からは「不公平だ」と反発の声が出ており、現在の救済案がそのまま実現するかは不透明だ。

5Gは先手必勝

 台湾政府は早くから4GのうちWiMAXに狙いを定め、07年より免許を発給し、台湾全土にカバー範囲を広げると同時に、サプライチェーンを構築してきた。ところが、頼みとしていた米インテルがWiMAX事業の規模を縮小。世界的にもWiMAXは普及が進まず、日米では各1社しか製品を生産していない。一方、LTEは今や世界で通信会社160社以上がサービスを提供し、年末には248社に増える見通しで、ユーザー数は1億2,000万件に達する見込みだ。初期選択を誤ったため、台湾はLTE展開で、日本に4年以上、韓国には3年以上遅れを取ったとの声が多い。

 行政院の張善政・科技政務委員は、4Gで出遅れた失敗を教訓に、政府、業界が今から5G発展について考えるべきだと呼び掛けた。すぐにも5G技術の研究開発(R&D)を始めれば、17~18年には試験生産を経て、対応製品の量産に入れるはずと述べた。なお5Gはまだ明確な国際的な定義はされていないが、韓国のサムスン電子が今年5月に核心的技術の開発に成功したと表明している。同社によると通信速度は4Gの100倍で、高画質の映画を1秒でダウンロードできるという。 

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