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母の涙が内政部長動かす、殉職消防隊員の兄が内勤へ


ニュース 社会 作成日:2013年7月9日_記事番号:T00044633

母の涙が内政部長動かす、殉職消防隊員の兄が内勤へ

 共に消防隊員となった兄弟のうち、弟が任務遂行中に殉職したことで悲しみにうちひしがれた母親が「一人残った息子まで失いたくない」と、消防署を管理する政府機関の長、李鴻源・内政部長に兄の内勤業務への配置換えを直訴した。

 陳奕達さん(27歳)と陳奕睿さん(26歳)の兄弟のうち、最初に消防隊員となったのは弟の奕睿さんだった。弟が仕事にやりがいを見出している姿を見て自分も消防隊員になろうと決めたという奕達さんは「ぼくの方が年上だけど、仕事では弟が先輩だ」と話していた。

 兄弟は親思いの孝行息子でもあり、忙しい合間を縫って毎月5日間は嘉義県の実家に帰省していたそうで、母親は息子たちが帰るたびに「体力がないと火事に立ち向かえない」と心配してたくさんのごちそうを振る舞ったという。兄弟の仕事は母親にとって自慢だったらしく、いつも近所の人たちに「息子は2人とも消防隊員になった」と誇らしげに話していたそうだ。

 しかし奕睿さんは6日、配属先の新北市泰山消防分隊の管轄内にある家具工場での火災発生を受けて出動し、人命救助に当たっていた際、火の勢いで倒れた鉄骨の下敷きとなり、不幸にも帰らぬ人となってしまった。

 次男を失って悲しみに暮れる母親は、奕睿さんの葬儀に参列した李内政部長に対し、奕達さんの手を握り締めながら「私にはもうこの子しかいません。この子に奕睿のような目に遭ってほしくないんです」と涙ながらに訴え、自分の住む嘉義県内の内勤業務に配置換えを申し出た。

 これに対し李内政部長は、「安心して私に任せてください」と約束。消防署も「今回のような特殊なケースの場合、現場と人事部の同意があれば希望の職場に配属されることは問題ない」とコメントしており、母親の訴えは聞き届けられる見通しだ。

 奕達さんは「やりがいのある現場の任務を離れるのは心残りだけど、奕睿を亡くして毎日泣いている母親にこれ以上心配をかけたくない」と語り、配置転換を受け入れる考えを示した。

 なお、一般的に消防隊員が希望する配置換えをかなえるには、勤務歴や業績など厳しい条件をクリアする必要があるそうだが、今回のような「人情配置」には他の隊員からも賛成の声が上がっている。