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NZと経済協力協定、先進国と初の調印


ニュース その他分野 作成日:2013年7月10日_記事番号:T00044685

NZと経済協力協定、先進国と初の調印

 台湾とニュージーランドは10日午後、経済協力協定「台紐経済合作協定(ANZTEC)」をニュージーランドの首都ウェリントンで調印した。台湾が国交を持たない先進国と経済協定を結んだのは初めて。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など、地域の経済統合への参加に向けた重要な第一歩となった。


ニュージーランドで行われた調印式の模様は、台湾にも衛星中継された(10日=中央社)

 10日付工商時報によると、同協定は2012年5月に交渉をスタート、1年余りで調印に至った。台湾はニュージーランドに対し米を除く99.88%を対象品目とする一方、ニュージーランドは台湾に対し全品目を対象とし、工業製品については99.61%の製品に即時ゼロ関税を適用する。一方、農産品・畜産品などは12年間で段階的に関税を引き下げ、最終的にゼロ関税を目標とする。

 経済部の分析によると、ANZTEC発効により台湾各産業の生産額は▽製造業、0.19%増▽サービス業、0.06%増▽農業、0.29%減──で、全体としては6億500万米ドル増加する見通しだ。貿易面では輸出が6億2,400万米ドル、輸入は6億600万米ドルの増加を見込む。 

ウィンウィンの関係

 財政部の統計によると、昨年台湾からニュージーランドへの輸出額は5億2,000万米ドル、ニュージーランドからの輸入額は6億9,000万米ドルと規模は大きくはない。ただ、台湾は主に石化、紡織、精密機器、電子部品などの工業製品を、ニュージーランドは粉ミルクなどの乳製品、冷凍牛・羊肉、キウイなどの果物を輸出しており、それぞれ品目が重複しておらず、ANZTEC調印は双方にとってメリットが大きい。

 ニュージーランドにとって台湾は乳製品の最大輸出先で、台湾は製品に応じて関税をかけている。今後、ニュージーランドから輸入する粉ミルクや冷凍牛肉、果物などの値下げが進み、一般消費者への還元が期待される。ある量販店は、ニュージーランドからの輸入が8~9割を占めるキウイは、現在15~20%の関税が課されており、1個当たり約15台湾元(約50円)ほどだが、今後12元まで下がるとの見方を示した。一方で農業への影響は避けられない。経済部はニュージーランドが南半球に位置し季節が逆であることに加え、段階的に引き下げることで影響は低まると強調している。

チリ・インドとも検討か

 同日付経済日報は、ニュージーランド、および早ければ今月中に経済パートナーシップ協定(ASTEP)の締結が見込めるシンガポールに続き、今後はチリやインド、スイスが自由貿易協定(FTA)の締結候補になると伝えた。関係者はチリについて、ニュージーランドと台湾が調印したことで農産品の台湾輸出が影響を受け、また中国とFTAを結んでいるため交渉に入れる可能性は高いと指摘。一方、スイスと締結できれば欧州各国とのFTA締結の突破口になるとの見方を示した。ちなみにスイスは今週6日に欧州の国として初めて中国とFTAを調印している。

 台湾は中国との海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)締結後、各国・地域とのFTA締結の道を探ってきた。主要貿易国である日米などとFTAを結ぶのは政治面から難易度が高く、その他の国・地域との提携を積み重ねて最終的にTPPやRCEPへの加盟を目指したい考えだ。