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ASEが150億元の増資、中台で生産拡張


ニュース 電子 作成日:2013年7月16日_記事番号:T00044788

ASEが150億元の増資、中台で生産拡張

 半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手、日月光半導体製造(ASE)は15日、董事会で1億2,800万~1億6,000万株の現金増資および4億米ドルを上限とする第3次海外無担保転換社債の発行を決議した。これにより150億台湾元(約500億円)規模の増資を見込む。パッケージング・テスティング業界では過去10年で最大規模の資金調達で、半導体需要の高まりに伴い中台でさらなる生産拡張を図る。16日付工商時報などが報じた。

 ASEは、ここ数年は低金利が続き銀行融資に頼っていたが、今後の金利上昇を視野に現金増資と海外無担保転換社債の発行を決定したと説明した。資金調達額は市場環境の変化で決まり、必ずしも満額に達するとは限らないと強調した。台湾への総投資額は、現在拡張工事を進めている高雄市と桃園県中レキ市(レキは土へんに歴)の工場を含め10億米ドルに上るとみられる。

IDM受託で成功

 同社は世界金融危機以降、IDM(垂直統合型の大手半導体メーカー)からの受託商機獲得を狙う攻めの戦略を取ってきた。IDMがパッケージング・テスティングへの投資をやめ、設備の劣化が進んだ中、ASEは中台で生産拡大と技術革新を進めてIDMからの受注を拡大。銅ワイヤボンディングプロセスは、顧客に20~30%のコストカット効果をもたらし、今ではIDMの世界上位10社から受注を獲得している。

 ASEの張虔生董事長は、モバイル端末の成長がASEの売上高に大きく貢献していると説明。第2四半期のパッケージング・テスティング事業の連結売上高は362億9,500万元、前期比15.9%増で過去最高を更新するなど、 投資の成果も出始めてきた。衣食住などの分野でも電子製品の浸透率が上昇していることに加え、今後はグーグルが開発中の眼鏡型端末「グーグル・グラス(Google Glass)」やアップルやソニーなどが取り組む腕時計型端末などのウェアラブル(装着型)スマートデバイスという新商機が半導体市場を盛り上げることが期待できるため、引き続き市場シェア拡大に努めたいとの考えを語った。

アップルの受注獲得か

 一方、証券会社の観測によると、ASEはこのほどダイアログ・セミコンダクターの電源管理ICのパッケージング・テスティングを初めて受託し、間接的にアップルの受注を獲得した。ダイアログからは矽品精密工業(SPIL)が独占受注していたが、サプライヤーの分散化を進めるアップル主導の下、ASEにも受注が回ってきたもようだ。今回の受注は来月にも量産に入るとみられている廉価版iPhone向けとされる。なお、ASE、SPILは顧客に関する観測にはコメントしないとしている。

【表】