ニュース 社会 作成日:2013年7月18日_記事番号:T00044824
日本統治時代に日本語教育を受けた台湾人の戦後を描いたドキュメンタリー映画「台湾アイデンティティー」が現在、東京の映画館、ポレポレ東中野で上映中だ。
酒井充子監督(中央社)
この映画を撮った酒井充子監督は、同じく台湾「日本語世代」の日本統治時代に対する見方にテーマとした作品「台湾人生」(2009年発表)の監督として知られる。今回、「台湾アイデンティティー」を制作した動機について酒井監督は、日本語世代は日本統治時代に人生の前半を過ごしたが、戦後既に60年が経過しており、その間の歳月は非常に重要であると考えたためと語っている。
この映画に主人公として登場するのは原住民ツォウ族の女性、高菊花(日本名・矢多喜久子、民族名・パイツ・ヤタウヨガナ)さん、インドネシア在住の元日本兵、李柏青(日本名・宮原永治、インドネシア名・ウマル・ハルトノ)さん、台湾人の父と日本人の母をもつ張幹男(日本名・高木幹男)さんら6人。
劇中では6人へのインタビューを通じ、それぞれの「日本語世代」の人生が語られていく。
高菊花さんの父、高一生(日本名・矢多一生、民族名・ウォン・ヤタウヨガナ)さんは、日本統治時代に警察官、教員を務めたエリートだったが、戦後、ツォウ族のリーダーとして原住民の自治を主張したことから国民党政府に逮捕され処刑。その後、高菊花さんも当局によって長く監視され続けたそうだ。
また李柏青さんは日本兵としてインドネシアで終戦を迎えた後も現地に残り、インドネシア独立運動に参加した。その後、台湾に戻ったのは一度だけで、自身は「インドネシア人」と語る。
張幹男さんは戦後、台湾独立派の日本語冊子を翻訳しようとして「反乱罪」で逮捕され、政治犯が収監される台湾東部の孤島、緑島で8年間を過ごした。
このように6人は戦後、困難な激動の人生を歩んできたようだが、同映画公式ホームページによると、「日本語世代」と呼ばれる台湾人は今もなおある種の「日本人性」を包含しているという。そして「登場人物たちの生き様に『日本人性』を認めるとき、彼らの人生が写し鏡となって、台湾を顧みようとしてこなかった戦後の日本の姿が浮かび上がってくる」と指摘している。
なお「台湾アイデンティティー」は今後、日本全国で上映を予定している。
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