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高鉄運賃10月値上げか、財務困難で


ニュース 運輸 作成日:2013年7月22日_記事番号:T00044893

高鉄運賃10月値上げか、財務困難で

 財務困難に陥っている台湾高速鉄路(高鉄)の欧晋徳董事長は21日、早ければ10月にも値上げを検討していることを明らかにした。値上げ幅は約9%、台北~左営(高雄)の片道料金を現在の1,490台湾元から1,630元(約5,400円)へ140元の値上げを想定している。実施されれば2007年1月の開業以来初めて。22日付工商時報などが報じた。

 欧董事長は、定期券や回数券は当面値上げせず、非ピーク時間などの割引を増やすことで、通勤客や学生などへの影響を抑えると強調した。一部割引は現在よりさらに値下げも検討しているという。来月初めの董事会での決定を経て交通部に値上げ案を提出する予定で、政府の審査、新運賃の告知にそれぞれ1カ月を要するため、実施は早くて10月になる。

 葉匡時交通部長は値上げ構想に対し、高鉄側の考えをまだ明確に理解していないため、コメントできないと述べた。

電力料金引き上げでコスト増

 高鉄が値上げを検討する背景には同社の財務困難がある。高鉄の運賃は政府との建設・運営・譲渡(BOT)契約により、政府が承認した基本料率に高鉄が最高20%の調整を加えて決定できる。基本料率は消費者物価指数(CPI)が累計で3%以上上昇した場合引き上げられることになっており、09年に1キロメートル当たり3.655元から4.009元と改定された。

 しかし、世界金融危機に見舞われていた当時は、値上げを見送らざるを得なかった。欧董事長は、昨年の電力料金引き上げなどでコストが上昇したことに加え、65歳以上の高齢者や障害者の運賃を半額に設定していることで毎月1億2,000万元、総額75億元の損失を計上していると説明。これらを含む不可抗力によるコスト増は640億元で、高鉄の運営を圧迫していると苦しい状況を説明した。

事業権の99年延長、9月に判断か

 高鉄は交通部に対し、事業権を35年から99年に延長することを要求している。欧董事長は、政府はBOT入札の際、台湾域内総生産(GDP)成長率を8~12%で乗客数などを試算し、基準としていたが、契約後に成長率は徐々に低下しただけでなく、金融危機でマイナス成長に転じたと指摘。乗客数は景気の良しあしと直結すると説明し、政府に対し高齢者向けなどの優待運賃への補助なども求めている。

 交通部はこれに対し事業権の延長を主張する権利があることを認める一方、根拠となる詳細なデータが必要で、双方の意見がまとまらなければ協調委員会(調整委員会)に委ね、遅くとも9月には決定するとの見解を示した。


高鉄は21日、子どもに人気のアニメキャラクターをデザインした車両を投入した。1日5~8便運行する(21日=中央社)

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