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憧れの職業「水先人」、月収80万元も


ニュース 社会 作成日:2013年7月24日_記事番号:T00044919

憧れの職業「水先人」、月収80万元も

 先ごろ発表されたサラリーパーソンの実質経常性給与(基本給や固定手当など。賞与などは含まない)が1カ月当たり3万6,739台湾元(約12万2,000円)と16年前を下回るなど給与の低さが社会問題となる一方で、平均月収40万〜80万元という「夢」の職業が存在する。多数の船舶が出入りする港において船舶を安全に誘導する「水先人」と呼ばれる仕事だ。

 水先人は船舶が港に出入りする際、水先案内船に乗り込んで急行する。そして、縄ばしごを使って相手船舶に乗り込み、その時の気象条件、潮の流れ、船舶の特性など状況を判断しながら指示を出し、安全な出入港を助ける。

 水先人として正確な判断を下すには、豊富な経験が必要となるため、この職業に就くにはまず海運輸送船の船長を3年以上務めることが必須となる。この条件をクリアしてはじめて受験することができる資格試験では、「航海英語」、「操船学」、「水先案内術」、「海事法規」の共通科目に加え、それぞれの港湾に関する知識が試され、各60点以上を取ってようやく「水先人見習い」資格が取得できる。

 さらに水先人見習いになった後、3カ月間の訓練を得て再び試験を受け、これに合格すれば晴れて水先人となれる。

 キャリア1年未満の梅崇山さん(48歳)は11年続けた海運の仕事で家を空けることが多く、息子から「もう船に乗らないで」と言われたことがきっかけで水先人となった。

 彼の勤務する基隆港は、夏は台風、冬は季節風に悩まされ、悪天候に高波が重なった場合、縄ばしごで船に乗り込む際、波に瞬間的に押し上げられた水先案内船との間に挟まれる危険もあるそうで、「みんな水先人と言えば給料が良いというイメージしか持っていないようだけど大変なんだ」と語る。

 実際、6年のキャリアを持つ殷大楽さん(56歳)は見習いだったころの実習で水先案内船に挟まれかけ、「手を放して海に飛び込まなければミンチになっていた」と話す。また3年前には判断を誤って化学品の運搬船を埠頭(ふとう)にぶつけさせたこともあるそうで「まだまだ学ぶことはたくさんある」と謙虚に語る。

 給与の高さから海運関係の学生にとって憧れの的となっている水先人だが、殷さんはこうした若者に対し「真剣に操船技術を磨き、関連法規などの知識を吸収すれば将来のさまざまな状況に対応するのに役立つ」とアドバイスしている。