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金融サービスの地域格差深刻、4割超の郷・鎮に銀行なし


ニュース 社会 作成日:2013年7月29日_記事番号:T00044998

金融サービスの地域格差深刻、4割超の郷・鎮に銀行なし

 台湾の金融業界では、銀行の数が多過ぎる「オーバーバンキング」が問題として指摘されることが多い。しかし、このほど経済日報が調査したところ、全土で銀行の営業拠点が存在しない郷・鎮(日本の町村に当たる行政単位)が4割を超えるほか、3つの郷では現金自動預け払い機(ATM)さえ1台も設置されていないことが判明。都市と地方の金融サービス格差の拡大が浮き彫りとなった。

 経済日報の調べによると、全土365の郷・鎮のうち、2006年に144カ所だった「銀行の営業拠点が存在しない行政区」は年々増え続け、現在は全体の約45%に当たる163カ所、人口にして271万人に上っている。

 さらに金融監督管理委員会(金管会)のレポートによると「人口当たりの金融機関が不足している郷・鎮」は昨年末時点で172カ所、人口は314万人となっている。

 なおATMが1台も存在しないのは▽屏東県獅子郷▽台東県金峰郷▽花蓮県万栄郷──の3カ所。このうち4,786人が住む屏東県獅子郷には郵便局も存在せず、住民が貯金を引き出すためには隣りの枋山郷まで行かなければならない。最も遠い場合、30キロメートル離れており、車で1時間かかるそうだ。

 金融サービスの地域格差が拡大した要因は、01年に政府が進めた経営状態の悪い業者の統合を促す政策にあるとされる。

 その際、政府は整理対象となる金融機関の価値を高めるため、銀行の支店開設許可を凍結。銀行が新たに支店を開設するには整理対象機関を合併するほかないという状況を作り出した。さらに政府は、買収後の営業拠点の移転を無条件で認めたため、合併が完了した後、地方の拠点は次々に閉鎖され、都市部に移転していった。台北市では過去10年間で銀行の支店数が142店増加している。

 こうした状況について政治大学金融系の李桐豪教授は「台湾の銀行は大陸(中国)展開ばかりに目を向け、域内の地方サービスを顧みない」と批判。「このまま放置すれば地域格差はさらに拡大する」と警鐘を鳴らしている。