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野良犬捕獲で米プレゼント、狂犬病予防の「奇策」に批判も


ニュース 社会 作成日:2013年7月30日_記事番号:T00045023

野良犬捕獲で米プレゼント、狂犬病予防の「奇策」に批判も

 狂犬病に感染したイタチアナグマの発見が中南部を中心とした6県市で広がりを見せ、各地でペットへのワクチン接種など感染拡大への予防に向けた対策が進められている。こうした中、雲林県古坑郷ではウイルスへの感染の危険がある野良犬の捕獲に乗り出しており、さらに市民に対し、野良犬を1匹捕獲すれば5台斤(約3キログラム)の米と交換するという「奇策」を打ち出したところ、動物愛護団体から強い反発を招いている。

 狂犬病の発生が報告されて以来、古坑郷で捕獲された野良犬、野良猫の数は89匹に上っているが、捕獲を担当する同郷清潔隊の張圳徳隊長によると古坑郷は面積が広い上、野良犬は警戒心が強いため、作業は容易ではない。そのため、7人の隊員は全身傷だらけとなっているそうだ。

 このため今後の作業効率を上げるため、雲林県から捕獲籠20セットを借り、わなを仕掛けて捕らえることにしたほか、一般市民に捕獲を奨励する「米プレゼント作戦」の実施を決めた。同作戦は数日前から実施されており、これまで12匹が米と交換されたという。

 なお張隊長によると、捕獲された野良犬は埋め込まれたマイクロチップから飼い主が判明した1匹を除き、全て動物病院に収容されている。

 これに対し動物愛護団体、雲林県関懐動物協会の黄瓊芳理事長は、「当県には野良犬の収容施設がないため、現在動物病院には収容可能な10匹を上回る40匹が押し込まれている状態で、12日間の収容期間が過ぎれば安楽死させられることになる」と指摘。雲林県は8月5日に全県で176匹を処分する計画だという。

 黄理事長はこれを「虐殺」と批判し、「世界保健機関(WHO)の専門家による報告では狂犬病の感染拡大を防止するにはワクチン接種こそが有効で、雲林県のやり方は逆効果となる可能性もある」と指摘した。

 同専門家によると、ワクチン接種を施した「安全な」野良犬を地域内に留めておけば、ウイルスに感染した別の野良犬を寄せ付けない効果が期待でき、全て殺処分してしまえばその地域の危険性はかえって高まるという。