ニュース 電子 作成日:2013年7月31日_記事番号:T00045074
宏達国際電子(HTC)は30日に開催した業績説明会で、第3四半期に携帯電話事業が赤字に転落する可能性があるとの見方を示した。四半期ベースとしては2002年の上場以来初めての損失計上となる。今年は機種を絞り、マーケティングに予算を投じてブランド強化を図る戦略を打ち出したものの成果を出せなかったことが明らかになった格好で、再度方向転換の必要に迫られている。31日付工商時報などが報じた。
同社全体の第3四半期売上高は500億~600億台湾元(約1,600億~2,000億円)で、前期比15~30%減と予測した。粗利益率は18~21%(同3~5ポイント下落)、営業利益率は第2四半期の1.5%から0~マイナス8%に落ち込む見通しだ。
周永明HTC執行長は、粗利益率低下の主因として、3月に発売した「新HTC One」が高コストな上に販売規模がまだ思い描いたとおりになっていないことを挙げた。第3四半期末から第4四半期にかけて、旗艦機種「新HTC One」の小型モデルである「HTC One mini」など多くのミドルエンド機種の発売を控えており、第3四半期を谷底に第4四半期は持ち直すと強調した。
赤字転落予測について証券会社は、新HTC Oneはサムスン電子の「ギャラクシーS4」より早く市場に投入することを予定していたものの、 部品不足などで発売日の延期を余儀なくされ、完全にタイミングを外す結果となったと指摘した。
孤立化で不振に
かつてはHTCも世界スマートフォン市場でシェア2桁を獲得していた。しかし、アップルやサムスンの躍進や、中国メーカーの台頭で競争が激化し今では大きな遅れをとっている。
同日付電子時報は、HTCの不振について同社の孤立化が原因と指摘した。以前はマイクロソフト(MS)やクアルコムなどとの提携で他社をリードしてきたものの、こうしたメーカーが他社との提携も進めたことで優位性が薄まった。一方で携帯電話ブランド各社は携帯電話の販売のみに絞っていないことや、グループ企業の部品調達などの後ろ盾を得ていると説明。例えば、アップルやサムスンはパソコンなども展開しており、大グループ企業として優位性が高い。また、アップルは自社でプラットフォームを手掛ける強みがある。中国の聯想集団(レノボ)、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)、中興通訊(ZTE)などは、同国の巨大市場の成長の恩恵や自社の他製品の優位性、販路・通信キャリアとの関係などが武器になっている。
単独で戦いを挑むHTCとってより良い製品の開発は決して難しいことではないとみられるが、時期を見失わない戦略と経営方針が業績回復にとっての課題だ。経済日報は、中国の大市場は地場ブランドだけでは需要を満たすことはできないと分析し、ミドルエンド機種の中国市場投入がHTCの再起を担うと指摘した。
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