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「値上げの10月」、経済成長に打撃


ニュース その他分野 作成日:2013年8月19日_記事番号:T00045406

「値上げの10月」、経済成長に打撃

 10月1日に電気料金、台湾高速鉄路(高鉄)運賃などが一斉に値上げされる他、来年1月にも台湾域内線の航空運賃、国家風景区(国立公園に相当)の駐車料金などが引き上げられる。消費者は、昨年6月に電気料金値上げが幅広い物価上昇を引き起こした事態の再現を懸念している。行政院主計総処は16日、電気料金値上げが消費者物価指数(CPI)を押し上げるなどとして、今年の経済成長率予測を2.31%に下方修正した。19日付経済日報などが報じた。

 主計総処は、10月の電気料金値上げで今年のCPI上昇率が0.06ポイント、来年は0.18ポイント押し上げられ、今年の経済成長率は0.02ポイント、来年は0.06ポイント引き下げられるとの試算を示した。今年の経済成長率予測2.31%は、5月の1.19ポイント下方修正に続いて0.09ポイントの引き下げとなった。来年の経済成長率は3.37%の予測だ。

月100元の負担増

 電気料金は10月に家庭用4.57%、商業用10.04%、工業用11.49%の値上げが行われる予定だ。高鉄は10月に最高9.6%の運賃引き上げを計画しており、台湾鉄路(台鉄)も来年追随する考えだ。台湾中油(CPC)は8月1日から家庭用液化石油ガス(LPガス)の価格抑制措置を取り消し、9月には石油製品価格に新しい計算公式を適用する。

 消費者からは、高鉄は乗らない、国家風景区は行かないという選択肢があるが、電気は使わないわけにもいかないと不満の声が上がった。電気料金は値上げによって、家庭用で1カ月500キロワット時(kWh)使用した場合、毎月100台湾元(約330円)余り高くなる計算だ。

 中華民国全国商業総会(商総)の張平沼理事長は、今年の台湾経済の回復は鮮明でなく、10月の電気料金の値上げを2年に分割できれば、企業や消費者、物価への影響を弱められると政府に呼び掛けた。

一方、経済部と台湾電力(台電)は、今年10月の値上げは昨年12月から延期したものだとして妥当性を強調した。ただ江宜樺行政院長は先週、経済的弱者や小規模な店舗に配慮する考えを示している。

貯金できない低所得家庭

 主計総処の調査によると、昨年の世帯所得が下位20%の低所得家庭161万5,000戸では平均貯蓄額がマイナス2万5,795元だった。マイナスは6年連続で、マイナス幅は過去4年で最も大きかった。

 主計総処は、低所得家庭の48%は収入の担い手が65歳以上で、貯金や退職金で生計を立てていると説明。ただ、残りの約半分は実際に収入が少なく、生活が苦しいと指摘した。

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