ニュース 電子 作成日:2013年8月20日_記事番号:T00045432
外電の報道を基に20日付電子時報などが報じたところによると、スマートフォン最大手、宏達国際電子(HTC)が25%を出資する米高級ヘッドホンメーカーのビーツ・エレクトロニクスが、同株式の買い戻しを検討しており、既に新たな投資家との間で資金調達などの交渉を行っているもようだ。ビーツは現在モバイル端末向けではHTCに独占供給しているが、HTC以外のブランドにも供給を行いたい考えとみられる。ビーツとの独占提携を失うことは、業績不振に陥っているHTCがまた一つ強みをなくすことを意味する。
HTCは同観測についてコメントを控えている。同社はビーツの技術、ブランドイメージがアップルに対抗する上で武器になると考え、2011年8月に3億900万米ドルを出資し51%の株式を取得。モバイル端末への音響技術に関する独占授権を得た。しかし、両社の企業文化などの違いや、提携効果が予想を下回ったことなどから、ビーツは12年7月にHTCの所有株の半分を買い戻した。HTCは依然25%の株式を保有する最大の外部株主で、両社の提携関係は維持された。
ただ、ビーツとしては出荷台数の落ち込みが顕著なHTCへの供給だけでは成長が見込めず、出資を断つことで独自のビジネスモデルを構築したい考えとみられる。業界関係者は、ビーツはハイエンドヘッドフォン市場をリードしており、HTCにとっては投資価値があるが、ビーツとしてはHTCの拘束から逃れ、他のスマートフォンメーカーなどとの提携や、音楽ストリーミングサービスへの参入など自由な事業展開を図りたい考えだと指摘した。ビーツの創業者でCEO(最高経営責任者)のジミー・アイオヴァイン氏は3月、計画中の音楽ストリーミングサービスについてアップルのティム・クックCEOと提携などについて意見交換を交わしたとも伝えられている。
ブランド力低下も
HTCは11年以降、ビーツ以外にもクラウドコンテンツやソフトウエアなど多くの企業に投資を行った。しかし、目立った効果を生まないばかりか、ビーツ株の売却で約487万米ドルもの投資損失を被った他、4,000万米ドルを投資したオンラインゲームの「Onlive」が経営難により12年8月に清算するなど、HTCの経営圧迫につながった。観測通りビーツとの独占授権が崩れれば、金銭的損失だけでなくブランド力の低下を招き、経営にとってさらなる打撃になるとみられる。また、出荷減少が続けば、サプライチェーンや提携メーカーなどとの価格交渉も不利になり、調達コスト削減も難しくなる他、新技術や設計の導入など新製品開発への悪影響も懸念される。
世界出荷も10位以下に
一方、電子時報系の市場調査機関、デジタイムズ・リサーチによると、HTCのスマートフォンの今年通年の世界出荷台数は3,000万台以下となり上位10社から転落する見通しだ。市場全体では上半期が約4億2,000万台、下半期は前期比24.5%増が見込め通年で9億5,000万台の予測だ。巨大市場を味方につけている中国ブランドはHTCと異なり勢いがあり、聯想電脳(レノボ)を筆頭に4社がランクインする見通しだ。
【表】
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722