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10月の電気料金値上げ、景気配慮で8.49%に抑制


ニュース 公益 作成日:2013年8月28日_記事番号:T00045590

10月の電気料金値上げ、景気配慮で8.49%に抑制

 経済部は27日、10月に予定している台湾電力(台電)の電力料金適正化プランによる第2段階の値上げの修正案を公表した。値上げ幅を当初の平均9.64%から8.49%に縮小するなど、経済への影響が最低限にとどまるよう考慮したと説明した。産業界からは、世界的な不景気に加え、電気料金値上げによるコスト上昇は経営を圧迫し、競争力低下を招くなど批判が相次いだ。28日付経済日報などが報じた。


台電は値上げによっても、今年は依然441億元の赤字を計上する見通しだ(27日=中央社)

 今回発表された修正案のポイントは▽民生用、500キロワット時(kWh)以下の世帯(約85.7%)は値上げせず、新たに1,001kWh以上(約29万世帯)の区分を設けた▽小規模商業用、1,500kWh以下(約80.2%)は値上げしない▽中大規模商業および工業用、当初の値上げ幅を1割縮小──が挙げられる。

 経済部は今回の値上げによって、製造業の生産コストに電気料金が占める割合が従来の平均2.27%から2.52%へと0.25ポイント上昇するとの見通しを示した。特に従来型産業の▽製紙▽紡織▽化学材料▽石化──の各業界への衝撃が最も大きく、小売、宿泊・レジャー施設などのサービス業への影響も比較的大きいとの見方だ。

CSC、2年で10億元増も

 中大規模商業および工業用電気料金は値上げ幅を縮小したとはいえ、10月から10.4~12.2%値上がりすることに変わりはない。これを受け、産業界からはコスト増を懸念する声が相次いだ。中国鋼鉄(CSC)の鄒若斉董事長は、電気料金値上げによるコスト増は、今年は2億台湾元、来年は8億元に上る見通しで2年で10億元(約32億円)の損失を計上することになると予測した。紡織メーカー、宏益繊維工業の羅昭甲総経理は、川下メーカーの景気が回復しておらず、製造コスト上昇分の価格転嫁は難しいため、利益を圧迫すると説明した。

 中華民国全国工業総会(工総)の許勝雄理事長は、工業用と民生用電気料金では世界的にも工業用が割安傾向にあり、台湾も1割未満だが安いと説明。しかし、日本は3割、韓国、香港は2割ほどと台湾を上回る差を設けていると指摘し、今後値上げの際には考慮してほしいと訴えた。

 サービス業界では、コンビニエンスストアは、照明や空調、冷凍・冷蔵設備など24時間絶えず使用しており、各店舗の電気料金は1割上昇すると予測している。大手4社合わせると、年間で2億~3億元増加する見通しだ。

 中華民国全国商業総会(商総)の張平沼理事長は「台電が倒産したらもっと面倒なので、値上げは受け入れる」と語ったものの、修正案は「われわれに5毛(1毛=1元の10分の1)のチップをくれたにすぎない」と批判した。

経済への影響は軽微

 一方、中央研究院(中研院)や台湾綜合研究院(台綜院)などは今回の値上げが経済に与える影響は大きくないとみており、今年の域内総生産(GDP)の成長率2.3%達成は問題ないとの見方を示した。

 呉再益・台綜院長は、値上げ後の今年の経済数値への影響について、▽GDPの成長率、0.024ポイント押し下げ▽GDP、37億元減少▽消費者物価指数(CPI)、0.029ポイント押し上げ──との予測を示した。

【表】