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台東県に待望の映画館、手土産持参の観客も


ニュース 社会 作成日:2013年8月29日_記事番号:T00045591

台東県に待望の映画館、手土産持参の観客も

 台湾21県市で唯一映画館が1軒もなかった台東県に7月、秀泰影城(ショー・タイム・シネマズ)がシネマコンプレックスをオープンした。オープンから約1カ月が過ぎた現在も大盛況で、中には地元で映画が楽しめるようになった感謝の気持ちを示すため、スタッフにフルーツなどの手土産を持参する観客もいるそうだ。

 台東県では4年前、県内に唯一残っていた映画館、「大同戯院」が火事で閉館して以来、新たな施設がオープンすることもなく、大スクリーン映画を楽しむには、長時間をかけて他県まで足を伸ばすほかなかった。

 そんな「映画館砂漠」の台東県で、冬休みと夏休みシーズンに県の施設を借りて上映会を実施するようになった秀泰影城は、映画を見終わった観客がスタッフに抱き付いて感謝の気持ちを現す光景を目にし、シネコンの新設を決めたようだ。

 今年7月12日、スクリーン数8枚、総座席数920席を備えた「台東秀泰影城」がついにオープン。初日は台風の接近に伴って陸上警報が発令されていたものの、幸い台東は快晴となり、約2,000人が押し寄せて長蛇の列を作った。

 台中の学校に通う台東出身の学生は「いつも故郷のことを『田舎の中の田舎』と言ってばかにされてきたが、これからは台東にも映画館くらいあると言える」と胸を張った。また多くの県民が「これでもう『台東は自然豊かだけどつまらない』などとは言わせない」と語っている。

 秀泰影城の廖偉銘董事長によると、同シネコン開業後、観客から感謝の手紙を多く受け取っており、映画が見られるようになった県民の喜びを実感しているという。また観客が手土産を持ってくるのは全土でも台東だけで、ここに出張するたびに太って帰るそうだ。

 ただ同社によると、映画館1軒が営業を続けるには30万人の人口が必要だが、台東県の人口は22万人で市場が小さく、オープン後1カ月は何とか損益均衡を達成したものの、今後も存続できるかどうかは夏休み明け以降の業績で試されることになるという。