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魚のうろこが角膜に、移植待つ患者に朗報


ニュース 社会 作成日:2013年8月30日_記事番号:T00045619

魚のうろこが角膜に、移植待つ患者に朗報

 台湾のある企業が8年にわたる研究の結果、魚のうろこを角膜として利用する技術を開発し、商品化のめどが立つまでに至っており、角膜移植を待つ患者にとって朗報となりそうだ。

 「うろこ角膜」を開発したのは再生医療などで利用される医療器材などの製造販売を手掛ける柏登生医(BOBC)。頼弘基董事長によると、8年ほど前、ある医学セミナーに参加した際、多くの医師から「プラスチックでできた今の人工角膜は患者に移植しても、時間がたてば手術で取り出さないと人体に害を及ぼすことになる」との不満を聞き、この分野の研究開発(R&D)に投資することを決めたという。

 同社は生物と相性が良いとしてコラーゲンを活用することを決めたが、それを何から抽出するかという問題が立ちふさがった。頼董事長によると、空のものから、地中のものまであらゆる動物から抽出したコラーゲンを実験するのに丸3年を費やしたという。

 しかしふさわしい動物が一向に見つからず、研究を諦めようとしていたある日、頼董事長が同社幹部とともにレストランで食事をした際、テーブルに並んだティラピア(呉郭魚)料理を見て「魚のうろこで試してみよう」と思い付いた。

 そしてついに魚のうろこの組織が角膜とよく似ていることを発見。その後、研究が一気に進み、このほどウサギおよびネズミへの12カ月におよぶ移植実験を終えたが、特に目立った拒絶反応は起きていないという。今後、ブタでの実験を経て、人体実験へと進み2015年にも発売できる見通しとなっている。

 世界保健機関(WHO)の統計によると、現在全世界で角膜の損傷や疾病で失明した患者は1,000万人を超え、さらに毎年約60万人ずつ増えているが、移植のために提供される角膜は1年に10万枚と大きく不足している。