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16年総統選、朱立倫 vs 頼清徳に?


ニュース 政治 作成日:2013年9月3日_記事番号:T00045694

16年総統選、朱立倫 vs 頼清徳に?

 2016年初頭に行われるとみられる次期総統選挙で、頼清徳台南市長(民進党、53歳)と、朱立倫新北市長(国民党、52歳)に候補者としての呼び声が若者の間で高いことが経済誌『天下雑誌』がこのほど行ったアンケート調査で明らかになった。頼市長は約3年の実績が評価され民進党のスター政治家としての歩みを着実に進めており、同党が政権奪回を至上目標とする中で、次期総統選の候補者として浮上する可能性もある。


頼清徳市長(右2)は、ハンサムで女性の人気が高く、かつて「立法院の唐沢寿明」とあだ名されたこともある(中央社)

 『天下雑誌』の調査は7月8日から13日にかけて、台北市など5直轄市の20歳から35歳までの1,671人に対し行われた。

 頼市長は地元台南市で55.54%の圧倒的支持を集めたほか、台北市(24.60%)と台中市(21.20%)で現職の郝龍斌市長(12.17%)、胡志強市長(19.79%)を抑えて首位に立つなど、人気は既に台湾全土に広がっていることが分かった。

 頼市長は先月末、中南部に浸水被害をもたらした台風15号(アジア名・コンレイ)で、台風休みを発令するタイミングが遅れて批判を浴びはしたが、環境保護、社会福祉、教育などの面で実績を挙げたこと、および清廉なイメージが評価されており、同誌が同時に行った「県市長施政満足度調査」でも82.80ポイントを獲得して2年連続で首位になった。2位は宜蘭県の林聡賢県長(76.53ポイント)で、80ポイント以上の高得点は全土22県市で頼市長だけだ。

直轄市長にチャンス広がる

 最近の台湾の総統は李登輝氏、陳水扁氏、馬英九氏と3代続けて台北市長の経験者が務めており、台北市長が総統への登竜門とされていた。しかし10年末に5直轄市体制が敷かれたことで、台北市以外の直轄市の格が上がり、直轄市長として実績を挙げれば総統府への道が開けると考えられるようになっている。

 16年の総統選では、三選禁止の規則により馬英九氏は立候補できず、国民党は朱立倫氏や呉敦義副総統(65歳)の名前が挙がっている。郝龍斌台北市長は目立った実績がなく可能性は薄い。

 一方、民進党では蘇貞昌主席(66歳)、12年に挑戦した蔡英文前主席(57歳)が有力視される。蘇主席は本人に出馬意欲が強いとされるが、08年の総統選(副総統候補として立候補)、10年の台北市長選では惨敗しており、選挙に弱いイメージがある。また、美麗島事件世代の古参政治家で新鮮味が薄いこともマイナスだ。

 蔡英文氏は清廉なイメージで人気が高く、前回落選した際には再挑戦を求める声が多く挙がった。ただ、昨年3月に党主席を辞任して以降は目立った活動を行っておらず、この点が次期総統選の候補者となる上で弱点となる可能性がある。

 こうした事情から、実績と人気を伴った現職直轄市長を候補者として擁立することについては、少なくとも可能性が検討されることはあるとみられる。ただ、蘇貞昌氏、蔡英文氏の動向が大きく関係するため、他の候補が出馬して敗れた場合、頼氏は20年にチャンスがめぐってくると考えられる。 

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