ニュース 電子 作成日:2013年9月4日_記事番号:T00045717
マイクロソフト(MS)が米国時間2日、ノキアの携帯電話事業を54億4,000万ユーロ(約7,140億円)で買収すると発表し、アップルやグーグルと同じハードウエア市場への参入姿勢を明らかにした。スマートフォン市場は端末スペックからOS(基本ソフト)に戦いの舞台が移り、宏達国際電子(HTC)はますます厳しい状況に追い込まれる。一方、台湾のサプライチェーンはマイクロソフトとの提携強化が見込まれ、調達先見直しに伴い受注の奪い合いが起きそうだ。4日付経済日報などが報じた。
マイクロソフトによるハード参入で、宏碁(エイサー)、華碩電脳(ASUS)など台湾パソコンブランドとの間にも距離ができそうだ(3日=中央社)
スマートフォンのOS市場では当初アップルのiOSが圧倒的人気を誇ったが、今やグーグルのアンドロイドが世界シェア8割近くを占め、マイクロソフトのウィンドウズフォンOSはシェア3.3%にすぎない。グーグルが昨年モトローラモビリティを買収、サムスンが独自OS「Tizen(タイゼン)」開発を急ぐ中、マイクロソフトも自社で携帯電話を作るソフトとハードの垂直統合モデルに切り替え、巻き返しを図る格好だ。
ウィンドウズフォン、HTC縮小か
バークレイズ証券の蓋欣山・科技産業アナリストは、HTCはマイクロソフトとのハイエンド機種の共同開発のチャンスを失ったと指摘。HTCのウィンドウズフォン市場シェアが上半期の15~20%から来年は縮小すると予測した。
HTCは毎年ウィンドウズフォンを発売してマイクロソフトを支えてきたが、アンドロイド機も重視してきたため、関係は依然ほど緊密ではなくなっていた。
HTC広報は、現時点ではコメントできないとしている。HTCの従業員からは「買収先がどうしてHTCではなかったのか」「打倒アップルで協力できたのに」などの書き込みが交流サイト(SNS)に相次いだ。
調達先入れ替え、来年Q1にも
蓋アナリストは、マイクロソフトは研究開発とブランドに集中し、アジアの受託メーカーへの依存度を高めると指摘した。ノキアの主要受託メーカー、鴻海科技集団(フォックスコン)傘下の富智康集団(FIHモバイル)と金仁宝集団の華宝通訊(コンパル・コミュニケーションズ)が最大の恩恵を受けるとみられている。富智康は、買収の場合、双方の擦り合わせ期間が発生するので、すぐさま受託メーカーに大きな影響が出ることはないと指摘した。
しかし、ノキアには北京、天津、インド、ベトナムなど多くの海外工場がある。マイクロソフトがブランド経営に集中せず、ノキアの自社生産比率80%を引き継ぐ道を選ぶ可能性も否定できない。来年第1四半期と予想される買収完了後にも、中国の比亜迪(BYD)などが加わって受注の奪い合いが起き、サプライチェーンの構成が大きな変化を見せそうだ。
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