ニュース 社会 作成日:2013年9月9日_記事番号:T00045780
台湾政界で王金平立法院長(72歳)らが検察幹部に対し、立法委員の背任事件で上訴を断念するよう圧力をかけていた疑いが強まり、一大スキャンダルに発展している。今回の事件は、単なる司法スキャンダルとしてのみならず、与党国民党内部での馬英九総統と王立法院長の関係不和が背景にあるとされ、事態が複雑化している。
馬総統の王院長批判会見は台湾メディアに「開戦」と報じられた。情勢は王院長(左2)にとって不利だ(8日=中央社)
最高法院検察署(高検署)特別偵査組(特捜部に相当)は6日午前、立法院の民進党議員団で総召集人を務める柯建銘立法委員(62歳)が一審無罪となった背任事件で、柯立法委員が王立法院長を通じ、曽勇夫法務部長(70歳)や高検署の陳守煌検察長(61歳)に圧力をかけて上訴を断念させたとして、曽法務部長と陳検察長の処罰を監察院と検察官評鑑委員会に要求。曽法務部長は6日夜、潔白を主張しながらも辞意を表明し、馬総統に了承された。
馬総統と王立法院長の確執
検察当局は事件当事者の起訴など、具体的な動きを今のところ見せていないが、馬総統と王立法院長の関係不和がこれまで公然の秘密だった上、王立法院長が海外渡航中というタイミングで検察当局が記者会見を開き、疑惑を明らかにした点から、馬総統による「王立法院長追い落とし」ではないかという観測が広がった。
2人の確執は、馬総統が8日に開いた記者会見で公然と王立法院長を批判したことでさらに深まった。馬総統は「今回の事件は司法の独立を犯す重大な事案で、きょうは台湾の民主と法治の発展にとって最大の恥辱だ。王立法院長の行為が圧力でないとしたら何だ」と切り捨て、王立法院長に事実上進退の判断を迫った。
国民党は王立法院長が10日に帰台するのを待ち、釈明の機会を与えた上で、11日にも党としての処分を決定する考紀委員会を開く構えだ。王立法委員は比例区選出の立法委員であり、党籍剥奪の処分を下された場合、立法委員、立法院長としての資格を失う可能性が出てきた。
盗聴で事件発覚
問題の事件は、柯立法委員が1997年に全民電通の総経理を務めていた当時、会社資金1,200万台湾元(約4,000万円)を着服したとされるもので、柯立法委員は起訴され一審と二審で懲役6月の判決が出たが、今年6月に一審判決が無罪に変更となり検察の上訴断念で無罪が確定した。
検察によれば、特別偵査組は10年に裁判官の集団汚職を捜査した際、元裁判官の事務所から現金90万元が発見され、関係者の柯立法委員との接触が明らかになったことから、柯立法委員の事件で何らかの圧力が存在した疑いを強めた。その後、柯立法委員の銀行口座にも不審な資金の流れがあったことから、携帯電話の盗聴を開始。その過程で王立法院長が検察への圧力に関与していたことが明るみに出たという。
王立法院長、圧力疑惑を否定
王立法院長は次女の結婚式に出席するため、マレーシア・パンコール島に滞在中で、林錫山・立法院秘書長を通じ、「司法案件に圧力などかけていない」と疑惑を否定した上で、「柯立法委員には慰めの言葉をかけたにすぎない」と説明した。
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