ニュース 政治 作成日:2013年9月11日_記事番号:T00045847
王金平立法院長らが検察幹部に対し、野党民進党の大物立法委員が絡む背任事件で上訴を断念するよう圧力をかけていたとされる問題で、与党国民党は11日、党としての処分を決める考紀委員会を開き、王氏の党籍剥奪を決めた。王氏は比例区の立法委員だったため、党籍剥奪により立法委員としての資格を失い、1999年から務めてきた立法院長のポストを失った。検察当局が起訴など刑事上の手続きを取る以前に下された異例のスピード処分で、馬英九総統が長年にわたり関係不和にある王氏に政治闘争を仕掛け、一気に追い落としたものとみられる。
王氏を厳しく批判する馬総統。党考紀委員らには、王氏に党籍剥奪処分を下すという「党中央の意思」が事前に伝わっていたという(11日=中央社)
「権力乱用」、王氏が検察批判
これに先立ち王氏は10日夜、私用で滞在していたマレーシアから帰台後、桃園国際空港で声明を読み上げ、最高法院検察署(高検署)特別偵査組は「権力を乱用している」と主張した。
王氏は「特別偵査組が私に対する事情聴取もせずに一方的に事実認定を行った上、海外渡航中に記者会見を開いたのは、審理もせずに判決を下すようなもので、手続き上の正義に反しており権力を乱用した」と批判した。
今回の事件は、立法院の民進党議員団で総召集人を務める柯建銘立法委員が一審無罪となった背任事件で、王氏が曽勇夫・前法務部長と高検署の陳守煌検察長に圧力をかけ、上訴を断念させたとされる疑惑だが、王氏は声明で「権力を乱用して上訴することがないように伝えただけで、上訴するなとは要求しておらず圧力には当たらない」と反論していた。
馬総統、「王氏は不適格」
馬総統は11日朝、考紀委が開かれる前に国民党で記者会見を開き、「王氏は既に立法院長としては不適格だ」と主張し、執拗(しつよう)に王氏を批判した。
馬総統は王氏が自ら立法院長と立法委員を辞任することを望んでいたとした上で、「国民党が党籍剥奪以上の処分を下し、王氏の立法委員としての資格を解き、立法院に去ってもらわなければ司法の尊厳を踏みにじる行為を黙認することになる」と述べ、厳しい処分を予告していた。
馬総統が記者会見で王氏を批判するのは8日に続き2回目で、「王金平外し」に向けた確固たる意思を印象付けた。
考紀委員会が開催された国民党本部前には王氏の支持者らが集まり、声援を送った(11日=中央社)
主席選契機に関係不和
台北で国民党幹部の家に生まれ外省人エリートとして育ってきた馬総統と、高雄出身の本土派、王氏とでは、同じ国民党指導者であっても価値観にはかなりの違いがある。2人は05年、国民党主席選挙で激しく対決。王氏は温和な人柄でコミュニケーション力に優れ、幅広い人脈を持っており、当時、中南部の立法委員を中心に王氏支持の声は少なくなかった。しかし選挙では軍人・軍属などの党員基礎票が集中した結果、馬総統が72%の得票率で圧勝した。
2人の関係はこのころから不和が目立つようになったとされ、08年の総統選で王氏は、副総統候補として馬総統とペアを組むことも、選挙対策本部長に就任することも拒否した。
この8月、王氏は中台貿易サービス協定について、行政部門が議会に事前に何の相談もせずに調印を行ったとして、コミュニケーションを欠いてこそ争議が大きくなると批判していた。ただ、馬総統の目には王氏は政権の政策執行に協力的でないと映っていたようだ。
一方的・性急な処分
立法院長は有権者の代表である立法委員による選挙で選ばれており、それを国民党による処分で更迭させる手法は、その性急さも含めて一方的との批判を免れない。馬総統は「王外し」には成功したものの、党内から反発が起きるのは必至で後々禍根を残す恐れがある。王氏が長年にわたり国民党に貢献してきたことを考えても、今回の処分を機に元々低かった馬総統の声望がさらに低下するのは避けられないようだ。
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