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「上がらぬ給与・急騰する住宅価格」、新聞記録が裏付け


ニュース 社会 作成日:2013年9月12日_記事番号:T00045848

「上がらぬ給与・急騰する住宅価格」、新聞記録が裏付け

 行政院主計総処が先ごろ発表した「幸福指数」で、「台湾はアジアで最も幸せ」との結果が出たことに対し、インターネット上では20年前の新聞を見たというユーザーが「1990年代は運送会社の見習いでも3万8,000台湾元の月給をもらっていたのに、今では大卒の初任給が2万2,000元だ」と指摘するなど市民から疑問の声が噴出している。これを受けて蘋果日報が過去30年間の新聞広告を調査したところ、市民の生活が厳しくなる一方の実態が裏付けられた。

 蘋果日報の調査によると、83年の紡織メーカー従業員の月給は5,000〜1万元だったが、一方で中秋節用の12個入り月餅セットが216元と現在の約3分の1の価格だった。

 また当時の新聞の不動産広告を見ると、台北市・士林官邸近くに位置するアパートの価格が1坪当たり6万8,000元から、桃園県中レキ市(レキは土へんに歴)のアパートで同1万8,000元、台中市のメゾネット式住宅で1戸当たり150万元だった。こういったデータを基に計算すると、夫婦共働きで飲まず食わずで働いた場合、平均5年でマイホームが所有できたとみられる。

 93年になると、新聞配達、ガス配管工、トラック運転手などの月給が3万〜4万元となった一方で、台北市の平均住宅価格も1坪当たり15万元前後まで上昇した。しかし、それでも飲まず食わずなら約10年でマイホームが手に入る計算だった。

 その後、03年に坪35万5,000万元に急騰した台北市の住宅価格は現在、約49万元へとさらに上昇した。しかし給与水準は横ばいが続き、先ごろ住宅専門誌「住展雑誌」が発表した統計によると、現在、台北市の新築住宅を購入する場合、夫婦共働きで35.8年かかるという試算が示された。

 こうした厳しい経済状況に対する不満の矛先は馬英九総統に向かっている。ネットユーザーからは「1期目の選挙の際、大卒の初任給が2万6,700元しかないと当時の与党、民進党を厳しく批判したにもかかわらず、当選後の09年には月給2万2,000元のインターンシップ制度を導入し、若年層の給与水準低下に拍車をかけた」など批判の声が出ている。