ニュース 政治 作成日:2013年9月13日_記事番号:T00045896
王金平立法院長の粛清劇で馬英九総統への風当たりが強まっている。大手ケーブルテレビ局、TVBSが12日まとめた世論調査によると、馬総統に対する満足度は就任以来最低の11%に落ち込んだ一方、不満足度は68%に高まった。王氏の党籍剥奪処分には「反対」が55%と、「賛成」の17%の3倍以上に上った。激しい手法と重過ぎる処分に、不祥事に関わったとされる王氏への反感は広まらず、かえって同情を集めて馬総統への反感につながっている。13日付蘋果日報が報じた。
台湾の今年の防災デーに当たる13日、馬総統(左)は台中市の小学校で胡志強台中市長(右)とともに地震対策の講義を聞いた。ただ、人心の揺れは当面収まりそうにはない(13日=中央社)
馬総統の対する満足度は2期目の2年目を迎えた今年に入り低空飛行を続けている。江宜樺内閣が発足した2月の時点で14%で、以後は13〜15%をさまよっている。今回はそれがさらに下落して、汚職まみれで民意が離れた陳水扁前総統の最低ラインだった10%に迫った。国民党寄りの同局のアンケートでもこの数字は、海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)をはじめとする業績はあれど、いかに馬英九という人物が市民の共感を得ていないかを示すものだ。
同じく国民党寄りの大手紙、聯合報が行ったアンケートでは、王氏の処分について「重過ぎる」との回答が67%で、「適切」の19%を50ポイント近くも上回った。
「地方選敗北なら責任を」
馬総統は国民党主席も兼任しており、声望の低下が来年末の統一地方選に悪影響を与える懸念が指摘されている。国民党は今月29日に党大会を控えているが、ある中央委員によると、統一地方選で敗れた場合、馬総統が責任を取るよう求める発言が大会に出席する委員から行われる可能性があるという。
台南出身の中央常務委員、李全教氏は「党内の団結を図り、地方を管理する党主席として、馬総統は不適任だ」と厳しく批判した。王氏粛清は、特に中南部の選挙情勢に悪影響を与えるとみられ、仮に統一地方戦で戦績が振るわなかった場合、馬総統は一気にレームダック化が進む恐れがある。
王氏にさらなる問題?
蘋果日報によると、今回の「王外し」には、立法院が6月に、議員が公金を不正支出しても公用目的であれば処罰されないとした会計法改正案を可決して、行政院が再審議を求める事態になったり、中台サービス貿易協定の議事進行に積極的な姿勢が見えなかった立法院長の仕事ぶりが下地にあった。そこに8月31日、黄世銘検察総長から圧力疑惑の報告があり、馬総統は我慢の限界点を越えてしまったいう。江行政院長も、立法院長が王氏では政権の重要法案の審議進行が困難だとの認識で、王氏退陣を支持したとされる。
王氏は依然、立法院長としての職務継続に希望を捨てていないとされる(13日=中央社)
一方、王氏の側にさらに大きな問題があったという説もある。王氏批判の記者会見後に馬総統から事情説明の電話を受けた国民党のある重鎮によると、馬総統は圧力問題以外に、「王氏と柯建銘氏(民進党立法院党団総召集人)は少なからぬ深刻なことをしており、許すことはできない」と語っていたという。
仮処分にわずかな望み
なお、王氏は党考紀委員会により党籍剥奪処分を受けたものの、党籍確認の民事訴訟と、同裁判の判決が確定するまでの間、中央選挙委員会に党籍喪失証明書の受け取りを禁じ、引き続き党員としての職権行使を求める仮処分を申請した。12日には、仮処分への判断が下るまで、立法院に対し自身の立法委員資格の取り消しを禁止することも裁判所に求めた。
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