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76歳ホームレス、橋げたに「我が家」


ニュース 社会 作成日:2013年9月18日_記事番号:T00045969

76歳ホームレス、橋げたに「我が家」

 淡水河に流れ込む支流、新店渓をまたぐ大橋、華江橋の橋げた上部には、洞穴のようなスペースが設けられている。このスペースに76歳のホームレス男性が住み着いていることが分かり、「このスペースは点検用で、人が住むのは危険過ぎる」などと懸念の声が上がっている。

 中秋節(19日)を前にした17日、ホームレス支援団体、人安社会福利慈善事業基金会は淡水河沿いにある華江雁鴨自然公園(台北市万華区)でゆずや月餅の配布活動を行った。これを取材に訪れた自由時報の記者が76歳のホームレス男性、張正順さんに「どこで寝起きしているのか」と聞いたところ、張さんは上を指差し「橋の上」と答えた。

 驚いた記者が男性の張さんについて彼の「我が家」を訪れると、そこは橋げたの上部に作られた7坪ほどのスペースで、周囲の壁は真っ黒に塗りつぶされていた。

 張さんはここに、拾ったシングルベッドやテーブルを持ち込んで寝起きしているが、橋げたの高い位置にあるこの場所に入り込むには橋の手すりを乗り越えてなければならず、高齢の張さんにとっては命の危険もある。しかし張さんは「公園や駅では物を盗まれたり、人にいじめられることもあるけど、ここならやっかいごとはない」と気に入っているようだ。

 宜蘭県出身の張さんは、11歳で台北市に出てもち作りを学び、15歳で故郷に帰ってもち屋を開いたものの、父親からの暴力に耐えかねて再び台北へ戻った。

 その後、27年間にわたり炭鉱夫の仕事を続けた後、45歳で結婚。これを機に炭鉱を離れ、工事現場で働くようになった。しかし、仕事で家を空けることが多かったことから夫婦仲がうまくいかず離婚。息子と娘にも20年会っていない。さらに働いて貯めた1,400万台湾元の貯金も妻や父親、兄弟に渡してしまい、自分は一文無しとなって1年半前からこの橋に住むようになったそうだ。

 「人生いろんなことがあり過ぎた」と語る張さん、何とか心安らかな老後生活を過ごしてほしいものだ。