台北市で提供されている公共レンタサイクル「YouBike（ユーバイク、微笑単車）」は、会員登録を済ませ「悠遊カード（イージーカード）」で料金を支払う場合、最初の30分間が無料となる。しかし、無料時間が切れる直前に自転車を返し、別の自転車に乗り換えてまた無料利用を継続するという方法で制度を悪用する利用者が多く現れており、問題となっている。

　台北市政府は、こうした「タダ乗り」目的の乗り換えを防止するため、10月１日から自転車を返還したサービス拠点では15分間、新たにレンタルすることはできないとする措置を実施した。

　しかし、この対策にも抜け道があった。会員登録に使用した携帯電話番号１つにつき５枚の悠遊カードを利用して自転車を借りることができるという規定を悪用するものだ。

　同市交通局の統計によると、自転車を返した後、別の悠遊カードを使うという手段を用い、４回以上連続で自転車を借りた市民が半月で延べ100人を超えているという。

　これを受けて市は、この100人余りの市民に対し、来週にも携帯電話に警告メッセージを送付する方針で、それでも改善が見られない場合はYouBikeサービスの利用禁止措置を適用する可能性もあるとしている。

　なお、YouBikeは今月から台北市全行政区にサービス拠点が拡大され、ますます利用しやすくなっているが、「歩行者の安全を脅かす」「観光や運動のために利用する人が多過ぎて、本来の目的である公共交通機関の乗り継ぎのための利用者が使えない」などの指摘も出ている。

　これに対し王声威・交通局長は「現在は普及の第１段階で、多くの市民に使ってもらい、交通機関利用を促進したい」と説明。その上で、「自転車利用者には歩行者に『通してください』や『ありがとう』などの声掛けを習慣づけるよう呼び掛けている」と語った。また将来的には公共交通機関乗り継ぎのための利用者優遇など料金体系の見直しも検討するという。