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「第2の王建民を探せ」、大リーグ球団が台湾スカウト強化


ニュース 社会 作成日:2013年10月31日_記事番号:T00046713

「第2の王建民を探せ」、大リーグ球団が台湾スカウト強化

 野球の米大リーグでは近年、かつてヤンキースで2年連続19勝を挙げた王建民投手、ドジャースで中継ぎとして活躍し、2010年に防御率1.20で球団記録を塗り替えた郭泓志投手、日本の中日を経て12年にオリオールズ入りし、1年目から12勝を挙げた陳偉殷投手など、台湾人選手の活躍が目立っている。このため大リーグ球団は台湾に大勢のスカウトを送り込んでおり、次世代のスター選手発掘に血道を上げている。

 現在台湾には、ヤンキースやドジャースなど大リーグ10球団以上がスカウトを常駐させている。

 そうしたスカウトの1人で、7年前に来台したツインズのケーリー・ブローダー氏は、主に優秀な若い才能の発掘を目的とし、「三級棒球」と呼ばれる学生野球を主な視察対象としている。試合があると聞けばスピードガンやストップウォッチ、ビデオカメラを携えて駆け付け、にぎやかな球場で1人黙々と注目選手の特色、長所などを記録する。

 この他テレビで早朝に大リーグ、夜に中華職棒(台湾プロ野球)の試合を観戦。さらに2〜3カ月に1度は日本や韓国、オーストラリアへ試合を視察に訪れるため、1年に見る試合数は500試合を超えるそうだ。

 ブローダー氏は台湾の若い選手について、「他国の選手に比べ体格は劣るが、バッティング技術と守備の安定度では上回る。基本動作がしっかりしており、規律をよく守る」と指摘する。

 ブローダー氏はこれまで、陳泓亦投手(21歳)、羅国華投手・内野手(同)、胡智為投手(19歳)の3人を米国に送り込んでいる。しかし、大リーグ球団は1年に100人近い新人選手を獲得し、そのうち大リーグに昇格できるのは2桁にも満たず、主力選手となるのはわずか2〜3人という「狭き門」。台湾の3人が海の向こうで成功できるかどうかは未知数だ。

 一方、全世界に100人規模のスカウトを送り込む大リーグ球団に対し、資金難に苦しむ台湾球団はほとんどが各チームにスカウト1人体制で、その1人が少年野球から国際大会までを担当している。このため細やかなスカウティングは不可能で、当然「取りこぼし」が生まれることになり、有望人材の海外流出が懸念されている。