ニュース 電子 作成日:2013年11月1日_記事番号:T00046765
鴻海科技集団(フォックスコン)の郭台銘董事長は31日、グループ会社が第4世代移動通信システム(4G)の周波帯数を落札したことを受けて、4Gサービスではデータ量が少ない通話やショートメッセージサービス(SMS)を無料とする考えを示した。通信事業の新規参入者として利用者獲得に向けたアピールとみられるが、技術面、および通話無料の場合データ料金が高くなるといった海外の事例から、業界からは懐疑的な見方が相次いでいる。1日付工商時報などが報じた。
郭董事長が製造業で磨いた手腕が4Gサービスでも発揮されるのか、市場の関心は高い(31日=中央社)
30日終了した国家通訊伝播委員会(NCC)による4G免許発給の周波数帯に対する競争入札では、計6社による落札総額が1,186億5,000万台湾元(約4,000億円)と、最低制限価格(359億元)の3.3倍に達した。このため各社のコスト上昇分が、消費者負担に転嫁されるとの懸念が出ている。
国際市場を視野に
郭董事長は通話やSMSは無料とする一方、画像や動画などのデータは従量課金制を導入すると説明し、「最も低価格のサービスを提供したい」と意気込んだ。サービス開始時期については「タイムスケジュールはないが早ければ早いほど良い」と語った。また、現在高雄軟体園区(高雄ソフトウエアパーク、高雄市前鎮区)内に建設中の研究開発(R&D)センターが台湾南部における4G総本部になると述べた。同センターは年末の完成予定だ。
一方、通信キャリアの威宝電信(ビボテレコム)、亜太電信(アジア・パシフィック・テレコム)を買収して通信事業の基盤を強化するとの観測については、「パートナー探しは急いでいない」と説明した。郭董事長は、台湾市場は小さいため利益計上が困難だとして、提携パートナーの条件として「国際的な通信業者」を挙げた。その上で、将来的には海外市場に進出してビジネス需要に注力したいのとの考えを示した。
低価格は不可能?
ただ、業界からは郭董事長の構想に疑問の声が上がっている。通信キャリア大手、台湾大哥大(タイワン・モバイル)の頼弦五総経理は、「4Gでの通話利用の際には第3世代移動通信システム(3G)が必要だが、既存の3Gサービスを持たない鴻海がどうやって通話サービスを提供するのか」と指摘した。別の通信キャリアの総経理も、欧州の4G業者が通話料金無料サービスを提供しているが、データ料金は月間500MB(メガバイト)に対し台湾元換算で約1,700元にも上ると例を挙げ、4Gサービスの低価格化は現状不可能で、データ料金が高額ならば消費者負担は重くなるとの見方を示した。
通信リソースの開放呼び掛け
郭董事長はまた、1番人気のC5(15MHz)ブロックを落札するなど今回の入札の勝者と言われている中華電信について、もともと鴻海もC5を狙って応札したものの、中華電信が即座に応札価格を一気に引き上げたため、身を引いたと強調。中華電信はかつて国家予算を投じて基礎インフラを整えたものを、民営化後も自社リソースとして活用し高い競争力を誇っているとして、不公平さを強く批判した。
その上で行政院の張善政政務委員に向けて、オーストラリアやシンガポールのようにこれら通信リソースを誰もが利用できるようにすれば、4Gや次世代の5Gの発展が加速すると提言した。
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