ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

頂新集団も消費者欺く、食品業界の信用壊滅


ニュース 食品 作成日:2013年11月4日_記事番号:T00046792

頂新集団も消費者欺く、食品業界の信用壊滅

 大統長基食品廠を発端に食用油の成分不当表示問題が波紋を広げる中、食品大手、頂新国際集団傘下の味全食品工業は3日、大統の油を原料としていたと認め、オリーブ油、グレープシード油など食用油21種の売り場からの撤去、返品受付を発表した。これに先立ち、福懋油脂(フォルモサ・オイルシード・プロセッシング)も2日に混入の事実を認めていた。両社は「不当な混入はない」とする誓約書を当局に提出していたが、それが虚偽だったことが判明、消費者を欺いていたことが明らかになった。4日付経済日報などが報じた。


味全の張総経理は記者会見で、学術機関の検査報告を提示し、製品の安全性には問題はないと強調した(3日=中央社)

 味全の張教華総経理は3日の記者会見で、生産委託先の頂新製油実業を信頼していたと強調。当初の自主検査では問題がなく、われわれは被害者で、大統に対し損害賠償を請求すると述べた。メディアからの質問に対し、頂新製油の大統からの調達開始時期などは把握していないが、魏応充董事長ら魏氏4兄弟は大統から調達している事実を知っていたはずだと述べた。

 これに先立ち、屏東県の衛生局は先月27日、頂新製油の屏東工場で使用禁止と書かれた大統の油を発見。28日には協力メーカーのリスト提出を求めたが、頂新製油は渋り続け、衛生局が11月3日午後3時の最終期限を通達した結果、味全は大統の油使用を認めた。

売上高の1%弱で信頼に傷

 先月16日に食用油不当表示問題が発覚したことを受け、味全は22日、「味全」「健康廚房」両ブランドの食用油は安全だとする誓約書を発表し、魏応充董事長は「食品メーカーには良心が重要だ」と呼び掛けていた。魏応充氏は味全、頂新製油の董事長、さらには台湾食品良好作業規範発展協会(食品GMP)の理事長も務める。「外部」に委託していたから分からないという言い訳は通じない。


味全が安全を宣言していた誓約書。伝統ある優良企業の名前が泣く(同社リリースより)

 大統の原料油を使った味全の製品21種は家楽福(カルフール)、松青超市(マツセイ)、台糖量販などに出荷されていた。該当製品21種の上半期の販売額は5,061万台湾元(約1億7,000万円)で味全の連結売上高の0.35%にすぎないが、ブランドの信頼感に大きな傷が付いた。

詐欺の疑いで調査

 一方、福懋油脂は、オリーブ油6品目にキャノーラ油を混入し、うち2品目には大統が生産したオリーブ油を原料として使用していた。同社の許忠明総経理は2日、コスト削減のために商品表示とは異なる食用油を混入させていたと説明し、消費者に謝罪した。小型包装のオリーブ油の販売からは撤退する意向も表明した。台中市衛生局は同社に対し、罰金1,500万元の支払いを命じた。

 許銘能・衛生福利部次長兼食品薬物管理署(FDA)代理署長は、味全と福懋は誓約書を提出していたにもかかわらず、協力メーカーの情報を提出せず、責任者が問題を認識していた可能性があり、詐欺に当たるか調査を進めると述べた。

 衛生福利部は1日から台湾全土の衛生局と共同で市販の食用油の原料と添加物に対する集中検査を実施し、3日午後1時までに調査した7,665点のうち129点で規定違反が見つかった。