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エイサー再建、外資証券は軒並み悲観


ニュース 電子 作成日:2013年11月7日_記事番号:T00046871

エイサー再建、外資証券は軒並み悲観

 宏碁(エイサー)が第3四半期の大幅赤字と王振堂董事長兼執行長(CEO)の引責辞任を発表し、リストラ断行で来年の黒字転換を目指すと表明したものの、外資系証券会社は一斉に目標株価を下方修正し、2015年まで赤字が続くと悲観予測を示した。外電は、王董事長はアップルの「iPad」に蹴落とされた敗者だと指摘した。7日付経済日報などが報じた。


株価が急落する中、王董事長は従業員宛てレターの中で、3カ月以内に世界総裁の後任を発表すると宣言した(6日=中央社)

 エイサーは6日株価が過去最低16.9台湾元(約57円)のストップ安となり、外資系証券会社は投資判断を「売り」「売り推奨」として、目標株価を一部12元まで引き下げた。7日の株価は変わらず、16.9元だった。

 花旗環球証券(シティグループ・グローバル・マーケッツ)は、エイサーは来年の営業・マーケティング費用を1億米ドル削減するというが、市場の需要がタブレット型パソコンやスマートフォンに移ったことが根本的な問題だと指摘した。その上で、今やアップル以外はタブレットPCで利益をほぼ出せず、スマートフォンもアップルとサムスン電子以外は赤字状態だとして、それら製品に注力したところで利益を出せる見通しが立たない市場環境の厳しさを説明した。

 同社やモルガン・スタンレー、BNPパリバ、CLSA証券は、エイサーは再来年まで黒字転換が困難とみている。

 エイサーは王董事長が執行長に就任した11年から通年赤字に転落している。

戦略失敗、敵に塩

 ブルームバークビジネスウィークは、エイサーの業績悪化はiPadによってもたらされたと指摘した。

 エイサーは07年に米ゲートウェイを買収し、米国での勢力拡大をもくろんだ。初代iPadが発表された10年、王董事長は、ヒューレット・パッカード(HP)を追い抜き、2~3年以内にPC世界首位の座に付くと発言した。エイサーは当時、ネットブック(小型の低価格ノートPC)が業界で最も好調だったが、その後iPadがネットブック市場を一掃。エイサーも急ぎタブレットPC、スマートフォン分野で追随したが、依然結果を出せていない。

 皮肉にもHPからPC世界首位を奪ったのは、エイサー前執行長のジャンフランコ・ランチ氏を引き抜いた聯想集団(レノボ)だった。

出資受け入れ観測も

 エイサーの現金増資計画(1株21元、1億3,600万株)に対し、市場では戦略パートナー受け入れ準備との見方が出ている。調達額が28億5,600万元にすぎない上、第3四半期の賃借対照表によると、手持ち現金と当座資産の合計で339億4,800万元あり、運営資金はひっ迫していないためだ。もし1社が全額出資すれば、出資比率4.8%の筆頭株主となり、創業者、施振栄(スタン・シー)氏の2.64%を上回る。

 ただ一方、新株は従業員が10~15%、既存株主が75~80%を引き受け、公募は残り10%と同社は発表しており、戦略的な意図はないとの指摘もある。

 汪島雄公関(広報)処長は6日、コメントを控えた。幹部は口止めをされているようだ。

コンパル・クアンタに発注の8割

 なお、エイサーのサプライチェーンに対する影響は限定的と観測されている。エイサーは来年、ノートPC出荷計画を1,700万台へと今年比10.5%削減し、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)に42%を、広達電脳(クアンタ・コンピュータ)に同38%を発注するとみられる。緯創資通(ウィストロン)や和碩聯合科技(ペガトロン)は来年の受注に期待が持てない。