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シンガポールと経済協定調印、TPPへ前進


ニュース その他分野 作成日:2013年11月8日_記事番号:T00046902

シンガポールと経済協定調印、TPPへ前進

 台湾とシンガポールは7日、経済パートナーシップ協定(ASTEP)を調印した。早ければ来年1月にも発効する見通しで、シンガポールからの輸入品は段階を経て99.48%でゼロ関税または減税となる。東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国との経済貿易協定調印は初めてで、台湾は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、アジア地域包括的経済連携(RCEP)への加盟に向けて一歩前進した。8日付工商時報などが報じた。


調印式はシンガポールで行われ、シンガポール台北商務弁事処のイウ・ムンホー代表(左)と、台湾の駐シンガポール台北代表処の謝発達代表(右)が握手を交わした(7日=中央社)

 ASTEPは物品貿易や原産地規則、税関業務、投資、政府調達など17分野から成る。2011年5月の交渉開始後、農業分野の開放をめぐり一時難航したものの、双方の議会での可決を経て、世界貿易機関(WTO)に報告した段階で発効することとなった。台湾は年内(今会期中)に立法院で最終可決(三読)すると見込まれる。

 台湾はシンガポールからの輸入製品に対して、農業製品は米やパイナップル、マンゴーなど40品目を除いて、発効から15年間、4段階に分けて税率を引き下げる。工業製品は、10年3段階でゼロ関税に引き下げる。即時ゼロ関税の対象となるのは▽5大汎用樹脂原料▽自転車▽スポーツ器材──など6,218品目(87.39%)だ。5年後には▽小型車▽プラスチック製品▽変圧器油──など357品目、10年後には▽冷蔵庫▽液晶カラーテレビ▽自動車部品▽バイク▽車両用エンジン▽タオル──など540品目でゼロ関税が適用される。

 一方貿易自由化が進むシンガポールは、今回酒類を即時ゼロ関税とすることで台湾からの輸入品全てがゼロ関税となった。

石化産業、影響少ない

 台湾はASTEPにより、15年後に実質域内総生産(GDP)が7億100万米ドル増加すると試算もあるが、今回はもともとゼロ関税製品が多かったシンガポールに対し、台湾がゼロ関税の対象製品を大幅に拡大した格好となり、各産業への影響が懸念されている。経済部関係者は、機械部品などの中間材料はシンガポールから輸入しており、台湾メーカーも恩恵を受けるとの見方を示した。台湾区石油化学同業公会(石化公会)の陳武雄理事長は、シンガポールからの石化製品に対する輸入関税はもともと高くなかったので影響は大きくないと説明。現在、多くの石化メーカーが中国で生産を行い、今後ASEANでの工場設置も検討していることから、ASTEP発効でシンガポールとの提携機会が増える可能性を指摘した。

 台湾は各国・地域との自由貿易協定(FTA)で韓国に3年以上の遅れをとっているとされる。しかし、台湾も7月に調印したニュージーランドと経済協力協定「台紐経済合作協定(ANZTEC)」と今回のASTEPを皮切りに各国・地域とのFTA締結を積み重ねる方針で、最終的にはTPPおよびRCEPへの加盟が目標だ。シンガポール、ニュージーランドはともにTPP加盟の交渉国で、経済部はTPP参加を目指す上で有利になるとみている。

インドなどが次の候補

 林永楽外交部長は同日、次の対象国について、現在インド、インドネシアとの協定調印に向けた調査は終了し、フィリピンも間もなく完了するとの見通しを示した。

 また、在台欧州企業で組織する台北市欧洲商務協会(欧洲商会、ECCT)のジュゼッペ・イッツォ理事長は、台湾と欧州連合(EU)も早くFTA調印を行うべきとの考えを示した。

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