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07年業績を経済部自賛、市民の実感とは乖離


ニュース その他分野 作成日:2007年12月28日_記事番号:T00004701

07年業績を経済部自賛、市民の実感とは乖離

 
  経済部は27日、今年1年の台湾経済のパフォーマンスを振り返る記者会見を開催し、陳瑞隆経済部長が、域内総生産(GDP)成長率が5.46%と過去7年で2番目に高い数値となったこと、貿易総額と海外からの直接投資が過去最高となったことを挙げ、「昨年より好成績だ」と高く評価した。しかし、今年は大卒者の初任給水準が10年前より低下し、大卒の失業者数が過去最高に上るなど、生活に関係した経済環境の悪化が進んでおり、こうした数値に説得力が感じられないのが現実のようだ。
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 今年は原油価格や原材料価格、基幹食品価格が高騰し、米サブプライムローン問題による金融市場の動揺など逆風が吹いたが、GDP成長率は昨年の4.89%を上回った。

 特に輸出が好調で、貿易総額は史上初めて4,500億米ドルを突破することが予想される。今年1~11月の新規民間投資は総額9,771億6,000万台湾元(約3兆4,260円)に上り、目標の1兆65億元の97.08%を達成した。

 今年竣工したプロジェクトへの投資総額も1兆187億8,100万元に達し、経済の活性化に役立ったという。1~11月の外国人と華僑による台湾への直接投資額(認可ベース)は、昨年同期比18.8%増で、過去最高の141億4,000万米ドルとなった。陳部長はこうした数値に満足の意を表明した。

 来年は、海外に進出している台湾企業に対する台湾への再投資の働きかけに力を入れるとした。経済部では、工業区の賃借料を最初2年間は免除するなどの「006688」優遇措置に200億元の資金を追加し、来年末まで実施を継続することを27日決定した。工業局が開発した工業区だけでなく、地方政府が開発した一部の工業区にも適用を拡大する。

1人GDP2万ドル、再来年に達成

 同日記者会見を行った行政院経済建設委員会(経建会)は、今年の主な業績として、▽バイテク産業発展のための国家発展基金基金による宇昌生技(タイメド・バイオロジクス)への1億2,000万元出資▽都市再開発の新計画──などを挙げた。

 来年は、26カ所の工業区の再開発を25年以上かけて進める「工業区再生示範計画推動小組」を組織し、まず老朽化した工業区2カ所をモデルとして選定し、第1四半期に計画を始動させる。 

 何美ゲツ経建会主任委員(ゲツは王へんに月)は来年2008年の一人当たりGDPは1万8,000米ドル、09年には2万米ドルに達すると予測を語った。しかし、15年に3万米ドルに到達するには一層の努力が必要との認識を示した。同数値は毎年平均5%の成長率を続ければ可能だという。

石油価格連動制は頓挫

 経済部と経建会の会見では成果ばかりが強調されたが、陳経済部長が推進した原油価格と連動してガソリンなど石油製品価格の小売価格を決定する価格連動制度が、原油価格の高騰によって頓挫したことや、対中投資の規制緩和の歩みが依然スローペースであることなど、力が及ばなかった部分も少なくないようだ。同日付経済日報は、政府発表の数値は一般人の生活の実感からはかけ離れており、その輝きもかすんで見えると論評した。