ニュース 運輸 作成日:2013年11月21日_記事番号:T00047147
格安航空会社(LCC)への参入で出遅れていた台湾航空業界に、ようやく初の企業が誕生することとなった。復興航空(トランスアジア・エアウェイズ)が20日、LCCを立ち上げ、遅くとも来年11月までに路線就航を目指すと発表した。台湾には既に海外LCC12社が10路線に乗り入れているが、林明昇同社董事長は「台湾旅客のLCC利用率はまだわずか5%で必ず需要はある」と期待感を示した。LCCのサービスの質に疑問の声も出る中、一定の質を維持して台湾ブランドとして支持を固めたいところだ。21日付中国時報などが報じた。
林董事長(中)は「LCCが世界の潮流となる中、参入しないわけにはいかない」と強調した(同社リリースより)
復興航空のLCC新会社は、片道5時間圏内で航空自由化(オープンスカイ)政策を取っている日本や韓国、シンガポール、タイ、マレーシアなどを就航候補先とする。新会社の資本金は20億台湾元(約70億円)で、当初は復興航空の単独出資だが、将来他社からの出資受け入れも検討する可能性もあるとしている。機材は当面エアバスA320やA321型機を2~3機リースする方針だ。
LCCの社名は「台湾人のLCCにしたい」との方針から暫定名称を「全民航空」とした上で、公募で決定する。きょう(21日)から12月20日まで同社ウェブサイトで応募を受け付け、命名者には今後10年間、フライト回数や座席クラスを問わず、無制限で同LCCに搭乗できる特典をプレゼントする。社名決定後はロゴも公募する予定だ。
「市場条件は不利」
LCC利用の進む東南アジアや欧米ではLCCのシェアが30%を超えており、林董事長は台湾市場もそうした潜在成長力があるとの見方だ。
市場開拓に向けて、新LCCは同一路線で最低価格を打ち出す方針だ。ただ、海外のLCCが格安ターミナルや、都市郊外の空港を使用して利益を生み出している一方、台湾にはそうした市場条件が備わってないため競争に不利との指摘も出ている。
台湾では近年のLCCの就航拡大に伴い「払い戻しができない」、「フライト時間の変更などの情報が十分に提供されない」、「ホームページに繁体字中国語版がなく、カスタマーサービスも英語しか通じない」などの苦情が増え、昨年は579件に達した。
復興航空は低価格を徹底する構えのようだが、その分サービスにしわ寄せが行かないか懸念される。初の台湾ブランドのLCCの利点を活かし、一定水準のサービスを確実に守ってこそ旅客の支持が高まり、市場開拓がスピーディに進む可能性がある。ただ、価格とサービスの質の配分については、復興航空本体とLCCの役割をそれぞれどう位置付けるかも重要な要素となる。
中華航空も参入へ
なお、業界最大手の中華航空(チャイナエアライン)もLCC市場への参入に意欲を示しており、傘下の華信航空(マンダリン・エアラインズ)がシンガポールのLCC、タイガー・エアウェイズと12月にも合弁で新会社を設立する見通しだ。
一方、長栄航空(エバー航空)は現段階でLCC設立の計画はなく、ビジネス客重視で引き続き今後の経営に取り組む考えだ。
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