広達電脳(クアンタ・コンピュータ)は1日、ベトナム北部にノートブック型パソコン(ノートPC)組み立て工場設置を検討していることを明らかした。早ければ今年の早い時期に計画を始動させるとみられる。ハイテク業界では昨年からベトナムへの投資熱が高まっており、広達の進出によってベトナムでの集積効果が高まり、これまで中国で生産していた台湾ハイテクメーカーのベトナム投資をさらに加速させるとみられる。2日付経済日報が報じた。
長期的展望から検討
ノートPC世界最大手の広達は、以前からベトナム進出のうわさが部品メーカーの間でささやかれていた。楊俊烈同社スポークスマンは、「確かにベトナムでの工場設置を検討してはいるが、詳細は明らかにできない」と語っているが、早ければ今年上半期に計画の詳細を確定し、来年下半期には工場を稼働させるとみられる。
広達は現在、中国の上海松江と常熟を2大製造拠点としており、さらに最近、上海松江の広輝工場跡地をリニューアルして新たにノートPC製造ラインを設置し、すでに稼働させている。これにより最大月産量は100万~150万台増加する。
ノートPCは、昨年全世界での販売台数が1億台を越え、今後も年30%の成長を続けるとみられている。広達の生産能力であれば来年の受注には十分対応可能だが、2010年以降のさらなる需要増大と顧客のリスク分散の必要性を考慮し、インド、インドネシアなどの候補地の中から、中国に続く第2の製造拠点としてベトナムを選択したようだ。
中国では、人件費上昇に加え、今年から労働合同法(労働契約法)や企業所得税法などの新たな規定が施行され、生産コストのさらなる上昇が、台湾企業に中国プラスワンの生産基地としてベトナムへの進出を促している。投資額が最も多いのは鴻海精密工業で、50億米ドルを投じる計画だ。また、ノートPC受託製造世界2位の仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)も昨年、ベトナム北部、ハノイ近郊のビンフック省に5億米ドルをかけてノートPCの生産ラインを設置し、上下流の協力メーカー約50社とともに一大ノートPC組み立て園区を形成する計画を明らかにしている。
高まる集積効果
ベトナムは公共インフラの充実に関しては中国の沿海諸都市に遠く及ばず、ベトナムが短期間で投資先として中国の競争相手となることはないと、多くの企業が考えている。しかし、上下流のメーカーに大きな影響力を持つ広達がベトナム投資を決めれば、鴻海や仁宝とともに集積効果を発揮し、生産供給ネットワーク全体が南に移動して新たな「産業エリア」が形成されることになる。業界関係者は、工場設置は顧客と足並みをそろえることが必須で、ベトナム投資の雪だるま効果は今年も持続するとみている。