ニュース 政治 作成日:2013年12月3日_記事番号:T00047365
中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)上空を含む東シナ海上空に防空識別圏(ADIZ)を設定した後の11月下旬、同空域を飛行した米軍機と自衛隊機に対し、中国空軍機が3回にわたり緊急発進(スクランブル)をかけていたことを厳明国防部長が2日立法院で明らかにした。中国の防空圏設定以来、米国、日本、中国、台湾の軍用機が同空域を各十数回から数十回飛行しており、3日付自由時報は不測の事態が起きる可能性が高まっていると指摘した。
答弁の準備をする厳明国防部長(中)ら。中国による防空圏設定を「非友好的で不適切だ」と批判した(3日=中央社)
立法院で行われた「中国の防空圏設定による台湾への影響」の報告と質疑で厳国防部長は、中国機によるスクランブルが確認されたのは11月26日、27日、29日の3回と説明した。スクランブルの程度については明らかにしなかったが、国防部によるといずれのケースでも中国機は相手機に1カイリ(1.852キロメートル)の距離まで近づき、台湾空軍のレーダー上で航空機を示すポイントが重なったという。
中国空軍は11月29日、同軍主力戦闘機のスホイ30と殲11が、自衛隊のE767早期警戒管制機、F15戦闘機および米軍のEP3電子偵察機などにスクランブルをかけたと発表。これに対し日米両政府は否定的な見解を示していた。
柯文安国防部情報参謀次長は、中国による防空圏の設定以来、同空域を軍用機が飛行した回数は米国が13回、日本が85回、中国が55回に上ると明らかにした。日本が尖閣諸島を国有化した2012年9月以降、同空域での軍用機の接近事件は65件に上るとしており、東シナ海情勢の緊張の高まりがうかがえる。
自衛隊機が民間機にスクランブル?
同報告では一方、沈啓・交通部民用航空局長が、日本の防空圏と台湾の台北飛行情報区(FIR)が重なる東経123度から124度の空域で、台湾の政府機や民間機が自衛隊機よりスクランブルを受けていたと発言し物議を醸した。
沈局長は午前の答弁では「スクランブルを受けた」とはっきり述べたものの、午後には「(日本側が)スクランブルを準備した」、「スクランブルが疑われる」と曖昧になった。夜間に改めて開いた記者会見では、「中台直航で開かれた中国の大連・青島に向かうB591航路について、09年に日本側に飛行計画の提供を始めた後も、依然台湾の民間機26機が自衛隊から電波による干渉を受けた」と大きく後退させた。
しかし「自衛隊が民間機にスクランブル」発言は波紋を呼び、中台統一派政党の新党が立法院で日本に対する非難決議を行うことを呼び掛けたほか、中華民国原則派寄りの大手紙、聯合報が1面トップでセンセーショナルに伝えた。
聯合報は「中国に強硬な一方、日本には柔軟姿勢でよいのか」と訴えた(3日=YSN)
中国に肩入れ狙いか
野党民進党の蔡煌瑯立法委員は沈局長の一連の発言に対し、「認識不足で不適任だ。日台関係を悪化させる恐れがあり、辞任して責任をとるべきだ」と批判した。高志鵬・同党立法院議員団幹事長は、中国の一方的な防空圏設定に国際的な批判が高まる中で「自衛隊機のスクランブル」発言を行ったことは、「自衛隊の粗暴な振る舞い」に注目を集めさせて中国に肩入れする狙いがあったのではないかと指摘した。
なお「自衛隊機のスクランブル」については、複数のベテランパイロットが「少なくとも自分や同僚は聞いたことがない」と話した。「電波干渉」に関しては、尖閣諸島をめぐる争議が激しくなった後、離陸または上昇中に航空自衛隊から日本の領空に進入したとして高度と自機の呼称の報告を求める通知を受けたことが数回あり、いずれのケースでも報告した後に航空自衛隊からその受領連絡を受けて、その後はそのまま飛行を続けたと説明した。
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