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「台北市はバブル」警告、住宅負担が消費を圧迫


ニュース 建設 作成日:2013年12月5日_記事番号:T00047420

「台北市はバブル」警告、住宅負担が消費を圧迫

 張盛和財政部長は4日、台北市の住宅価格は非常に高く、バブルの形跡があると発言した。内政部営建署の統計によると、台北市の今年第2四半期の平均住宅価格は2,005万台湾元(約6,900万円)で、一般家庭の対所得比では12.4倍(標準3~6倍)、住宅ローンが所得の44.8%(同3分の1以下)を占めるなど負担は非常に重く、一刻も早い対策が求められている。5日付経済日報などが報じた。


張財政部長(左)は「バナナ(住宅市場)が太れば、サクランボ(株式市場)は痩せる」と述べ、資金が住宅市場に集中する現状を例えた(4日=中央社)

 バブルか否かを判断する10大指標のうち、台北市では対所得比、家庭収入における住宅ローンの割合を含む7指標で標準より悪い数値になっている。そのうち、賃貸した場合の投資報酬率は1.57%で世界最低、回収期間は64年と世界最長だ。それぞれ5%以下、20年が標準とされる。

余剰資金が低金利で流入

 住宅価格の高騰要因について張財政部長は▽低金利を背景に余剰資金が不動産市場に流入▽台北市での需要が供給を上回る需給不均衡▽台北市以外の住民が、不動産市場の先高感を抱く心理的影響──の3点を挙げた。なお需給面では、台北市は需要が供給を8万戸上回り、住宅価格高騰を招いている一方、新北市は供給が7万戸上回っているものの、台北市につられて高止まりしているという。立法委員からは、中国・香港・マカオなどの企業による投資が価格高騰を招いているとの声も上がっている。

 張財政部長は、台北市の住宅価格抑制には供給量を増やすことが有効で、都市再開発を加速する考えを示した。台北市は更地が少ないため、大規模住宅の建設が難しい。そのため、築30年以上の2~3階建ての低層住宅を10階建ての高層マンションに建て替えれば、供給量が増え価格下落につながるとの見方を示した。ただ、都市再開発には住民との合意など難しい面があり、なかなか進まないのが現状だ。

「都市再開発より増税を」

 張財政部長の発言に対し、張金鶚・台北副市長は、非住宅用の不動産への増税こそが投資目的の購入を減らし、価格抑制につながると反論した。

 淡水大学産業経済系の荘孟翰教授は、台北市はかなり以前より住宅バブルであり、まだ弾けていないだけだと指摘。政府は、住宅市場の好景気に水を差したくないために何の手も打っていないと痛烈に批判し、このままでは1坪当たり500万元の時代がすぐにやってくると懸念を示した。

 台湾経済研究院(台経院)景気予測センターの孫明徳主任は、給与の上昇が見込めない上に住宅価格高騰で、一般家庭の住宅ローン比率は高まり、その他の消費に対する財布のひもがきつくなっていると指摘。内需不振の要因の一つとなっており、このままでは台湾経済全体を脅かすと警鐘を鳴らした。

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