ニュース 電子 作成日:2013年12月12日_記事番号:T00047560
半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手、日月光半導体製造(ASE)が高雄K7工場から汚染排水を近くの河川に違法に垂れ流していた問題で、高雄市政府環境保護局(環保局)は11日、新たにK11工場でも違法排水が疑われる5項目を確認した。違法が深刻な場合、操業停止命令も辞さない構えだ。ASEは10日の謝罪会見で、故意ではなかったと強調していたが、組織的な行為の可能性が否定できない。業界関係者は、アップルなど顧客はサプライチェーンにも企業の社会的責任を求めるため、ASEは長期的に大きな打撃を被る恐れがあると指摘した。12日付蘋果日報などが報じた。
高雄地方法院検察署(地検)は11日、環保署職員とともに後勁渓の徳明橋の排水口を調査した(11日=中央社)
高雄市環保局は同日、加工出口区(輸出加工区)楠梓園区のK5、K7、K11工場と後勁渓(高雄市楠梓区などを流れる全長21キロメートルの河川)の排水口を検査した。K5、K11工場ともに排水メーターが故障していた他、K11工場では許可されていない▽排水を中和処理する「最後中和池(中和処理装置)」▽排水を流量測定を経ずに後勁渓や下水道に流し込める「備用槽(予備排水槽)」▽海に通じる配管──が見つかった。また、電気めっきによる汚泥約4.4トンの貯蔵タンクが密閉されておらず、廃棄物清理法(廃棄物処理法)第36條違反などで罰金6万台湾元(約21万円)を科した。
陳金徳局長は、K7工場の長期にわたる複数回の違反に加え、今回K11工場で未許可の排水処理設備を確認したことから、「計画的に違法排水を行っていた可能性が高い」として、徹底的に調査する考えを示した。
陳局長はK7工場については、ASEの意見陳述の書面受け付けは19日までで、2営業日あれば審査できるので、12月21日か22日に操業停止命令を下すと述べた。
3カ月超えれば顧客に影響
ASEは10日午後、顧客に対し、生産が途切れることはないと通知した。高雄市政府や行政院環境保護署(環保署)に掛け合っていき、万一K7工場が操業停止になれば、桃園県の中レキ工場(レキは土へんに歴)で支援すると説明した。
K7工場はスマートフォンやタブレット型パソコン向けチップやプロセッサーのバンピングが中心で、クアルコム、ブロードコム、聯発科技(メディアテック)などが主要顧客だ。市場では、中レキ工場のバンピング工程の規模は小さいためK7工場の受注をこなせず、他社に受注が流れる可能性があり、矽品精密工業(SPIL)、アムコー・テクノロジーが恩恵を受けるとみられている。
一方、携帯電話チップ大手は、年末は在庫調整の時期で需要がもともと少なく、自社や販売店に在庫が1~2カ月分あるので、ASEの操業停止が3カ月以上続かなければ影響は軽微とみている。
租税優遇措置に批判殺到
11日の立法院では、ASEがこれまで受けた租税優遇措置約30億元の返還を求め、今後3年の14億元は打ち切るべきだと立法委員から声が上がった。張家祝経済部長は、まず違法排水の原因と動機を解明し、もし悪意ある行為ならば検討すると答えた。
ただ、中華民国全国商業総会(商総)の張平沼理事長は、法的プロセスに基づかずに租税優遇措置の返済を求めたり打ち切るのはおかしく、もしこれを許せば台湾に投資する企業がなくなると懸念を指摘した。
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