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筐体メーカーがドーナツチェーン導入、PC不振で多角化


ニュース 商業・サービス 作成日:2013年12月13日_記事番号:T00047589

筐体メーカーがドーナツチェーン導入、PC不振で多角化

 米老舗ドーナツチェーン、クリスピー・クリーム・ドーナツの台湾1号店が台北市信義区の威秀影城(ビューショー・シネマズ)に12日オープンし、開店前から500人以上が列を作るほどの盛況ぶりとなったが、今回同店の台湾代理権を獲得した世界第2位のノートパソコン筐体メーカー、奐鑫(シンガポール上場の台湾系企業)に注目が集まっている。徐鴻鈞・同社董事長はあくまで個人名義と強調しているが、ノートPC市場の低迷で先行きが不透明なサプライチェーンが、飲食業などへの多角化を図る姿が浮き彫りとなった。13日付電子時報などが報じた。


オープン3日前から並び、台湾1号店1人目の客となった女性には、1年間ドーナツが無料となるゴールドカードが贈呈された(12日=中央社)

PC低迷で赤字拡大

 奐鑫は主にノートPC用プラスチック筐体を手掛け、顧客には▽広達電脳(クアンタ・コンピュータ)▽サムスン電子▽英業達(インベンテック)▽聯想集団(レノボ)▽華碩電脳(ASUS)▽宏碁(エイサー)──など、大手ブランド、受託メーカーを抱える。筐体市場の競争が激しいことに加え、ノートPC市場の縮小で同社の赤字は2011年の3,430万シンガポールドルから、12年には9,770万シンガポールドル(約80億円)まで拡大した。

 同社によると、生産拡大を急ぎ過ぎたことが業績悪化の主因で、 近年は生産拠点を集中させるなどで製造コストの縮小を図っており、2~3年で成果が出る見通しだ。しかし、電子産業は変化の波が激しい一方で、飲食業は必ず需要があるため比較的安定しているとの見方から、今後も海外ブランドを台湾市場に投入する考えだ。

「筐体よりもうかる」

 徐董事長や実弟の徐鉦鑑総経理は個人名義で、2年ほど前から台中の鶏排(フライドチキン)店「超級鶏車」やドリンクスタンド「Mr.Wish」と提携し、中国市場に参入している。超級鶏車は華東地区に70店舗を出店し、1店舗の1日当たり平均売上高は5,000人民元(約8万4,000円)、一部店舗は1万人民元に上り、徐総経理は「筐体よりもうかる」と語っている。

 一方、電子関連企業による飲食事業参入は東元集団(TECO)が成功を収めている。モスバーガーやロイヤルホストなど8ブランドを展開している他、日本の料理教室事業大手、ABCクッキングスタジオの導入を計画している。また、家電量販店、燦坤3Cは今年から飲食事業に参入し、とんかつレストラン「富士印」や洋菓子店「日法坊(ラ・ボンボニエール)」など4ブランドの出店攻勢を続けている。10年以内に20ブランドが目標だ。

ミスド、男性市場開拓へ

 なお、クリスピー・クリームは世界に400店舗以上を構え、06年には日本1号店を東京新宿駅南口前にオープン。連日行列ができるほどの人気を博した。中国や韓国にも進出している。台湾1号店の来年通年の目標売上高は1億台湾元(約3億5,000万円)。来年は北部で3店舗の展開を計画中で、5年で10店舗が目標だ。

 一方、強敵出現となった同業のミスタードーナツは、日本と米国のドーナツはそれぞれ特色があり、クリスピークリームの出店で市場が活性化するとの見方だ。今後甘い味の商品だけでなく、男性好みの商品開発を行って市場拡大を図ると説明した。