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ASE大手から転落も、違法排水事件が拡大


ニュース 電子 作成日:2013年12月16日_記事番号:T00047619

ASE大手から転落も、違法排水事件が拡大

 半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手、日月光半導体製造(ASE)が、高雄K7工場のみならず、桃園県の中レキ(レキは土へんに歴)工場でも工業用水を未処理のまま排出していたことが分かった。違法排水を会社ぐるみで行っていた疑惑が強まったことを受けて、クアルコム、聯発科技(メディアテック)など顧客企業は今週から生産委託先変更の検討作業に入る。ASEの違法排水が、アップル、ソニーなど大手ブランドが推進するグリーンパートナー認定制度の基準を明らかに逸脱するためで、ASEは今後3~5年以内に大手から脱落する恐れがある。16日付工商時報などが報じた。


桃園県環保局は、違法排水は深刻な環境汚染を招くため、1回目で即停止、改善を命じると説明した(15日=中央社)

 桃園県政府環境保護局(環保局)は14日夜間に急きょ、ASE中レキ工場を検査に訪れ、ウエハー切断工程で発生する排水の未処理を確認し、排水管の封鎖、ウエハー切断装置3台の稼働停止を命じた。同3台は今年6月に設置されたもので、違法な排水は1,275トンに上る。罰金は最低でも25万台湾元(約87万円)で、検査結果により加重する。

 高雄K7工場での違法排水が発覚した当初、ASEは故意ではなかったと強弁していたが、会社として組織的に違法行為に手を染めていた疑いが極めて濃厚となったため、ビジネスへの影響拡大は必至となった。

 ASEの顧客には、クアルコム、メディアテック、ブロードコム、フリースケール・セミコンダクタ、マーベル、NXPセミコンダクターズ、STマイクロエレクトロニクスなどがある。生産委託先の見直しによって、早ければ1週間以内にも矽品精密工業(SPIL)、アムコア・テクノロジー、台湾星科金朋半導体(STATSチップパック台湾)に発注先が移る可能性がある。

 業界関係者は、東日本大震災を経て、大手半導体各社はリスク分散のため製品ごとにサプライヤーを2社以上確保しているので、ASEが生産停止に陥ってもサプライチェーンが断絶することはないと指摘した。

高雄工場、一斉捜索

 高雄地方法院検察署は15日、高雄市政府警察局刑事警察大隊とともにASE高雄K1、K7、K9、K10、K11工場を一斉捜索した。13、14日の蘇炳碩K7工場長(勾留)、林顕堂副総経理(500万元で保釈)らの供述から捜索が必要と判断した。排水、排水処理施設、違法な排水管などを押収すると同時に、関係者を明らかにする目的だ。今後、張虔生董事長に捜査が及ぶ可能性もある。

海に汚水、加工出口区が許可?

 高雄市政府環保局の陳金徳局長も同日、ASE高雄工場に出向いた。海に通じる排水管について、高雄工場がある加工出口区(輸出加工区)管理処は、ASEから緊急排水テストの申請を受け、10月5日に認めたと説明しているが、これに疑問を感じているためだ。