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ETC大混乱に交通部長激怒、運営委託の打ち切りも視野


ニュース 運輸 作成日:2014年1月13日_記事番号:T00048074

ETC大混乱に交通部長激怒、運営委託の打ち切りも視野

 今月2日からの高速道路の自動料金収受システム(ETC)全面導入後、二重取りなど課金ミスが相次いだことがドライバーの怒りを買い、ETC車載器に当たるステッカー「eTag(イータグ)」の返却がこの10日で1万人を超えた。葉匡時交通部長は10日、年内にまた問題が起こればETCシステム運営会社、遠通電収(FETC)との契約打ち切りも考えると発言。世界初のETC全面導入の狙いは渋滞緩和だったが、ドライバーを大混乱させる皮肉な結果を招いている。13日付自由時報などが報じた。


遠東集団(ファーイースタングループ)の徐旭東董事長は13日上海で、ETC課金問題を謝罪し、必ず改善すると約束した(13日=中央社)

 FETCによると、eTag申請は564万人で普及率は94%に達した。一方、eTag返却は以前から1日500人に上っていたが、距離比例方式の料金体系導入に伴うETC全面導入で1,000人に倍増した。課金トラブル続発や、支払い方法の複雑化、ETC利用の事実上の強制に抗議するため「eTag拒否」ステッカーを無料で配布する男性まで現れ、賛同者は数千人に上った。

 葉交通部長は8日の立法院の答弁で、FETCは課金ミスに「倍返し」で償うべきと発言したのに続き、10日には年末までトラブルが続けば処罰だけでは済まず、契約打ち切りもあり得ると述べた。交通部台湾区国道高速公路局(高公局)によると、FETCとの契約は20年間、2025年までだ。

一般道でも「課金」

 FETCは、ETC利用8,000万件のうち課金ミスはわずか121件と強調。しかし、中山高速公路(国道1号)の下の台北市浜江街の一般道を走っていた際に課金されたり、eTagを台北から新竹まで郵送したら課金されていたなど、新たなミス発覚が相次いでいる。

 FETCは12日、eTagがセンサーに反応するのは7メートル、課金されたという一般道から高架までの距離は15メートルで、理論的にはあり得ないが、検査対象に加えると説明した。郵送中の課金については、ドライバーのニーズに応え、郵送前にeTagの利用開始手続きを行っておいたことで発生した問題で、既に対応策をとったと説明した。

 だが、FETCが昨年12月に2回に分けてeTagを11万枚郵送した際にも、一部で同様の課金トラブルが起きていた。また、あるドライバーは、今月4日に愛買(aマート)大直店(台北市)でeTag返却手続きを行った際、申請書の理由欄の「サービスが悪い」にチェックしたのに、係員が勝手に「車両売却のため」と加筆したと訴えている。企業の体質にも問題がありそうだ。

個人・車両の情報流出に懸念

 eTag問題に関しては、ETC全面導入の初日にアプリ(APP)にハッカーが侵入し、個人情報が流出した疑いも出ており、立法院は10日、FETCの親会社、遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)が落札した交通情報クラウド計画を停止し、予算1億8,000万台湾元(約6億2,000万円)を凍結することを与野党一致で決議した。


FETCと高公局にETC利用記録の提供を求めたことについて、内政部警政署刑事警察局の劉柏良副局長は11日、あくまで捜査目的だと強調した(11日=中央社)

 この他、内政部警政署がFETCと高公局に対し、犯罪の捜査を目的に全日の走行記録を提供するよう求めていたが、与野党は高公局に提供しないよう求めることを決議した。